自動運転車の事故は誰の責任? 数学者が迫るAIと意識

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勝田敏彦
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 人工知能(AI)は画像認識や囲碁などですでに人間を上回る能力を示す。では、近い将来、意識や心まで持つようになるのか? 中部大創発学術院(愛知県春日井市)の津田一郎教授は「疑問に答えなければならない日が来る」と考える。その真意を聞いた。(勝田敏彦)

 4月上旬、濃尾平野を見渡す丘の上の研究室に津田さんを訪ねた。津田さんは脳の研究をしているが、研究室に実験装置や動物は見当たらない。数学者の津田さんが脳や意識に切り込む武器は数式なのだ。

 津田さんがこんな質問を投げてきた。「自動運転車にAIを搭載しました。自動運転できました。でも事故を起こしました。誰の責任でしょうか」

 つだ・いちろう 1953年、現在の岡山県美咲町生まれ。大阪大卒業後、京都大大学院修了。九州工業大助教授、北海道大教授などを経て2017年から現職。専門は複雑系科学、応用数学、計算論的神経科学。数理科学的手法を導入した脳研究で知られる。著書に「心はすべて数学である」「脳のなかに数学を見る」など。クロスカントリースキーが趣味。

 乗客は「私は運転していないから、私の責任ではない」というだろう。では責任はAIを作った人に? 車メーカーに?

 「プログラムを作った人が予期できなかった行動をAIがするかもしれない。そうすると、作った人に責任は負わせられません。AIにある種の意識があれば、AIに『お前が悪い』と言わないといけない。では、AIに意識があるのかどうやって判定するんでしょうか?」

 実際には「AIにはまだ意識がない」と私たちは思っている。だが「『いずれ意識を獲得するであろう』ということを前提に、今のうちに考えておくべき非常に社会的な問題なんです」と津田さんはいう。

 そもそも「意識」とは何か。

 この分野の先駆者の甘利俊一…

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