オンライン交流で高齢者に生きがいを 作業療法士の挑戦

聞き手・鹿野幹男
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 作業療法士として、デイサービス事業所などで高齢者らへのリハビリをしながら、7年前から県立医療大の教員や作業療法士の仲間らと連携して認知症の人の生きがいを引き出す「UDワーク」という団体をつくり、茨城県つくば市で活動しています。

 「自分は何もできない」と思って家にこもりがちになる認知症の高齢者に、イベントに参加してもらい、人と関わる機会を増やす。一緒に鍋料理を作って食べたり、子どもに読み聞かせをしたり。「密」な交流が当たり前でした。

 しかし、今は大勢で集まるのは難しい。スマートフォン操作を教えた経験もあり、交流を絶やすまいと、オンライン交流への切り替えを思い立ちました。

 独居の80代の認知症の女性にタブレットを貸し出し、大学生が遠隔操作で指南しました。LINEのビデオ通話システムで試みたのですが、私たちには当たり前の「クリック」の意味が分からず、絵文字も知りません。画面の滑らかなタッチ操作も難しい。使いやすいよう、シンプルな画面に調整しました。週1回ずつ講座を続け、2カ月間かけて通話を楽しめるようになりました。

 通話ができると、生きる張り合いが出てくるようです。女性はいま、得意だった英語をオンライン会議システム「Zoom」で中学生に教えています。ハードロックが好きな60代の認知症の男性は4月、同好の趣味を持つ4、5人とお気に入りの曲の良さを語り合っていました。

 最近、高齢者へのワクチン接種が始まりましたが、以前のような日常を取り戻すのは簡単ではないと考えています。身近でオンライン通話を楽しめる人が増えれば、忌避感の強い高齢者も「じゃあ自分もやってみるか」と、気が向くはず。そのために、これからも試行錯誤を続けます。(聞き手・鹿野幹男)