東京の原美術館 渋川でよみがえる 現代美術の拠点

柳沼広幸
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 今年1月に惜しまれつつ閉館した現代美術専門の原美術館(東京)のコレクションが、榛名山のふもとの群馬県渋川市金井にある別館に受け継がれた。別館は装い新たに「原美術館ARC(アーク)」となり、24日から「虹をかける」と題した展覧会が開かれる。

 展覧会では、原美術館と明治期の実業家原六郎のコレクションから多様な作品約60点を展示する。人気の高い奈良美智さんは、原美術館に常設していたアトリエをイメージした「My Drawing Room」を移設し、中にあった作品などを再配置した。森村泰昌さんの「輪舞(双子)」はトイレを使った作品。宮島達男さんの「時の連鎖」も移設した。

 草間彌生さんの「ミラールーム(かぼちゃ)」は、2メートルの鏡のキューブの作品。中だけでなく周りの壁や床も黄色と3種類のドットで描いた。青野和子館長によると、草間さんは「これこそが私の代表作」と話したという。

 中庭の空間に「日本列島のベンチ」を展示した鈴木康広さんは会場を訪れ、自ら座って見せた。床にはかつて切り株があったもみの木の年輪の模様を描いた。「座ることで方位を感じてほしい」と話した。

 原美術館は、東京・北品川の住宅街にある戦前の洋風邸宅を活用して1979年に開館した。運営するアルカンシエール美術財団の原俊夫理事長が、同時代の作家と会って作品を集め、ファンを魅了してきた。だが、建物の老朽化などを理由に今年1月に閉館した。

 別館は、赤城山を正面に見据える緑豊かな地で1988年に開館。建物は、世界的な建築家、磯崎新さんが手掛け、黒を基調とした木造建築。ピラミッド型の屋根が映える。

 特別展示室「観海庵(あん)」は静かな和風空間。狩野探幽の「龍虎図」、ごみをアクリルケースに入れたアルマンさんの「なまゴミ」など、伝統的な作品と現代美術を同じ空間に展示している。「誕生から終わりまで、人生を感じてほしい」と展覧会の企画担当者は言う。

 青野館長は「原美術館は私邸だったので、温室や納戸など展示には向かない所を奈良さんらに提供し、空間を作品化してもらった。それも移築したのでぜひ見てほしい」。

 入館料は一般1100円、大学・高校生700円、小中学生500円、70歳以上550円。木曜休館。問い合わせは、0279・24・6585へ。(柳沼広幸)