ワクチン配布量 埼玉県内自治体に格差なぜ?

新型コロナウイルス

川野由起、贄川俊
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 65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチンが、26日の週から県内すべての市町村に配られる。まずは少なくとも1箱(975回分)が配布されるが、ほぼ同数の高齢者がいる市でも、配布量に10倍近い差が出た。国から示された分配の基準がわかりにくかったためで、結果的に多く希望した自治体への配布量が多くなった。

 「多く希望をしていたが、こんなに来るとは思わなかった」

 ワクチン18箱が配られることが決まった深谷市の担当者は驚きを隠さない。配布数が、人口132万人のさいたま市に次いで2番目に多かったからだ。

 深谷市の人口は14万人で県内で16番目。高齢者の数は4万人で、多さは県内では14番目。人口に占める割合も目立って高くはない。5月下旬から接種を始めるのに備えて希望量を入力し、その6割程度が配分されることになった。ワクチンは、3週間空けて1人が2回接種する。今回の配布で高齢者の42%に1回目の接種ができるワクチンを確保したことになる。

 一方、深谷市を上回る人口23万人、高齢者6万人が暮らす上尾市で配布されるのは2箱。高齢者に占めるワクチンの確保割合は3・1%と県内で最も低かった。希望量は3箱で、「接種の運用上は問題がなかった」としているが、多くのワクチンを確保している市町があるのを知って「ワクチンが足りるのか」という市民からの問い合わせが殺到したという。

 人口35万人弱で9万人弱の高齢者がいる越谷市も配布量は3箱で、確保割合は上尾市に次いで低い3・4%にとどまった。担当者は「少なかったのでびっくりしている」と話す。

 なぜ、配布量にこれほどの差が出たのか。

 国は、4月から高齢者向けのワクチン配送を進めていて、すでにさいたま市など県内の11市町に優先的に2箱ずつ配布した。26日から5月9日までの今回分は、各市町村に1箱ずつのほか、追加で全国で合計4千箱配られることになっており、埼玉県全体では219箱が当てられた。

 この追加分を決めるにあたり、国は3月末に、「ワクチン接種円滑化システム(通称V―SYS〈ブイシス〉)に基づき高齢者人口等に応じた配分を想定」するとの通知を県を通じて出し、各市町村に希望量をシステムに入力することを求めた。

 さらに県は市町村に「(余らせないよう)使える希望量を入力してください」「市町村によってはワクチンが十分に配送されない可能性もある」と伝えた。このため、市町村の中には、住んでいる高齢者の数を考慮して配分されると考えた自治体もあった。

 ところが、国が今月12日に公表した市町村別の配分量の目安は、希望量のみに従って決められたものだった。県が最終決定した配分量も、この微修正にとどまった。

 県や市町村は、このタイミングで初めて明確な配分の基準がわかったと振り返る。県の担当者は、「今回配分の基準がわかってきたので、医療機関と調整して十分な量を希望してほしい」と話す。

 今後は、2週間ごとに希望量ベースで国からワクチンが配分され、6月中に県内の全高齢者約194万人分のワクチンが配られる予定。23日には、5月10~23日に配られる1095箱の配分が決まった。上尾市は5月下旬から大規模に接種を始めるため37箱分を希望し、30箱が配られる。越谷市の配分量は35箱、深谷市に配分はなかった。(川野由起、贄川俊

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