第1回この会社は何だ?不審抱いた監査役 ゴーン事件の幕開け

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大鹿靖明
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日産クーデターの真相:1

 日産自動車会長カルロス・ゴーンと代表取締役グレッグ・ケリーが東京地検特捜部に逮捕される1年4カ月ほど前の、2017年7月のことである。一人の監査役が、不審なグループ会社を調べようとオランダのアムステルダムに赴いた。

 監査役の名は今津英敏という。九州工業大を卒業後、1972年に日産に入社。車体技術部長や英国日産自動車製造幹部などを務めた生粋の技術屋出身だ。社内では敬愛をこめて「今津係長」「今津技術員」と呼ばれる現場の人だった。副社長まで昇進後、14年に監査役に転じた。

拡大する写真・図版日産自動車の監査役を務めた今津英敏=2005年撮影

 それから3年。今津が調査に乗り出したのは「ジーア・キャピタル」というベンチャーキャピタルだった。ゴーン側近のケリーが「新技術に投資する」と称して経営会議に提案し、10年にオランダに設立された。

口をつぐむゴーンの側近

 だが、日産の監査を受け持つ新日本監査法人が監査の際に日産を通じて投資実績を尋ねても、満足な回答はない。社内でも「活動実態がわからない」と疑問視する声が再三あがり、監査役室が注意深く見守ることになった。今津が監査役に就任時、前任者から「不審な会社があるんだが」と引き継いだのが、ジーアだった。

 今津は、ジーアの親会社でオ…

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