復興へ期待、相馬福島道路が17年かけ開通

笠井哲也、長屋護

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 【福島】東北中央自動車道の「相馬福島道路」が24日、全線開通した。常磐自動車道の相馬インターチェンジ(IC)と、東北自動車道の桑折ジャンクション(JCT)の約45キロを結び、相馬―福島間の所要時間は約40分短縮される。沿線では人とモノの流れが活発になることで、地域経済が活性化するとの期待がふくらむ。

 開通したのは相馬福島道路のうち霊山ICと伊達桑折ICの10・2キロ。3月末の開通を見込んでいたが、2月の福島沖地震で橋の補修工事が必要となり、ずれ込んでいた。

 開通式は伊達市岡沼の伊達桑折ICで行われ、赤羽一嘉国土交通相、平沢勝栄復興相、沿道の首長らが出席。内堀雅雄知事は「復興と地方創生を力強く牽引(けんいん)すると期待している」、伊達市の須田博行市長は「未来につながる希望の道と考えている」などとあいさつした。相馬IC―桑折JCTの区間は無料で、1日1万台の利用を見込む。

 これまで相馬市と福島市を行き来するには、国道115号を通るのが主流だった。しかし、勾配がきつい上、急カーブも多かった。東北地方整備局福島河川国道事務所によると、豪雪や落石などで過去21年で19回も全面通行止めが起きた。

 救急医療でも課題があった。相馬市、南相馬市、新地町には、重篤患者を治療する第三次救急医療機関がなく、約8割が福島市の県立医科大学付属病院に搬送される。だが、115号では安定走行がかなわず患者の負担になっていた。

 開通によって、勾配は115号の最大9・4%から4%へと低減され、急カーブもほとんどなくなる。冬場の運転への不安も少なくなる。

 相馬福島道路が、事業化されたのは2004年。だが、一部区間の整備にとどまり、全線開通のメドは立っていなかった。それが東日本大震災後、「復興支援道路」として位置づけられて一変。総事業費2315億円が投入され、震災後10年で開通にこぎ着けた。

 沿線地域では、来訪者の増加や企業誘致による経済の活性化に期待が高まる。

 伊達市霊山町で清掃具リース業などを営む直江市治さん(71)もその一人。伊達桑折ICに直結してイオンモールが計画する大型商業施設の誘致も進めてきた。「県北地域の起爆剤になり、相双地区や山形の県南地域からも人を呼び込める」と話す。

 自治体も動き出している。伊達市は伊達中央IC近くに新たな工業団地の着工をめざす。市商工観光課の担当者は「交通の便がよくなることが、企業の呼び水となる」と話す。すでに県内外の物流業や製造業の会社から、問い合わせが来ているという。福島市も福島大笹生ICの近くに工業団地の整備を進めており、22年春には「道の駅」を開業する。

 福島大学の吉田樹准教授(地域交通)は「道路の信頼性が高まり、企業立地の面でプラスだ。広い範囲からの集客もしやすくなる」と見る。一方で「ほかの地域にも行きやすくなり、ライバルが増える。道路をいかして、どういった地域づくりをするか。地元の取り組みが重要だ」と話す。(笠井哲也、長屋護)