「駄菓子絶景」、愛も拡散 店員、SNSに100作品

吉川喬
[PR]

 思わず「何これ?」と声が出てしまう、日常風景に駄菓子が入り込んだ写真の数々。駄菓子愛にあふれる岡山県瀬戸内市駄菓子店の店員が、そんな投稿をインスタグラムに続けている。アカウント名は「駄菓子絶景」だ。

 川を泳いでいるかのようなたい焼き型のチョコ菓子。備中国分寺(総社市)の五重塔を背景に積み上がるチロルチョコ5個……。SNSへの投稿は2016年に始め、公開したのは約100作品に上る。

 投稿主は、「大町」が運営する「日本一のだがし売り場」(瀬戸内市長船町)で、約5千種ある菓子・おもちゃの発注を主に担当する深井宏和さん(32)=岡山市。撮影場所は県内のほか、旅先の北海道や京都を舞台にした作品もある。

 駄菓子と日常風景の組み合わせを思いついたのは16年。木陰でかば焼き風の駄菓子を並べ、趣味のカメラで写真を撮ってみた。出来栄えは思った以上で、緑の風景に真っ赤な包装がよく映えていた。以来、直感を第一に様々なシチュエーションで作品の撮影を重ねている。

 駄菓子との縁は10年前にさかのぼる。

 県内の高校を卒業後、ギター職人を志して上京。専門学校に通って技術を蓄え、バイト先だったギター修理工場へ就職を申し出た。

 しかし、「君の実力じゃ無理だ」と告げられ、ショックで半年ほど働けなかった。その後、ギターからは離れて本屋やホテルなどでバイトを始めても、すぐに辞めてしまう。希望も目標も失ってしまっていた。

 そんなときにたまたま見かけたのが、駄菓子店員の求人募集。「子ども相手の楽な仕事だろう」と応募し採用されたが、この経験が人生を変えることになる。

 横浜市の商業施設内にあった店は、老若男女がひっきりなしに来店する大盛況だった。100円きっかりで買い物して「よっしゃ!」と大喜びする子ども。懐かしい駄菓子に興奮する大人。しばらくすると、何か仕掛けたくなって、店内の商品配置やポップ作りに工夫を凝らし始めた。

 時代に合った理想の駄菓子店を自分でつくるという夢もできた。開業に向けた修業として岡山へ戻り、17年、大町に就職。その直前にこれまでにない新たな駄菓子の売り込み方として、思いついたのが「駄菓子絶景」だった。「食べておいしい駄菓子は見ても楽しいはず」

 投稿した作品40点を並べた写真展「わくわくわく」を「奉還町4丁目ラウンジ・カド」(岡山市北区奉還町4丁目)で開催中。4月25、29日、5月1、2日の午前10時~午後3時。入場無料。(吉川喬)