起訴された技能実習生、無罪訴え 新生児死体遺棄事件

屋代良樹
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 熊本県芦北町の自宅で双子の新生児の遺体を放置したとして、死体遺棄の罪に問われたベトナム国籍の技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告(22)と弁護団が24日、熊本市で記者会見を開いた。弁護団は刑事裁判で無罪を主張すると話し、リン被告も「自分の子どもを捨てることは考えませんでした」と語った。

 リン被告は2018年8月に技能実習生として来日。芦北町の農家で働いていたが、20年5月に妊娠が判明した。

 弁護団によると、帰国させられることを恐れ、誰にも打ち明けることなく11月中旬に双子の男児を自宅で出産。双子は亡くなっており、自室にあった段ボール箱に遺体を入れたという。同月19日に芦北署が死体遺棄の疑いで逮捕し、12月に起訴された。

 リン被告は会見で「自分の子どもの遺体を見て心がとても痛みました」と話し、涙を流した。触っても反応しない双子に名前をつけ、「安らかに眠ってください」という弔いの言葉を書いた手紙を段ボール箱に一緒に入れ、部屋の棚の上に置いたという。

 誰にも相談できなかった理由として「インターネットで実習生が妊娠したら帰国させられるのを見た」と話した。来日のために約150万円の借金をしており、農家で稼ぎながらベトナムの家族に仕送りしていたと訴えた。

 リン被告は今年1月に保釈され、現在は別の実習先で働いている。弁護団によると、リン被告は遺体を埋葬する意思があったが、手続きがわからない状態だったと説明。出産後の一連の行為について「遺体の冷遇放置ではなく、埋葬のための安置」と主張した。

 石黒大貴弁護士は「本件で死体遺棄罪が成立してしまえば、妊娠した技能実習生は帰国させられる恐怖におびえて孤立出産を余儀なくされ、死体遺棄罪で逮捕される例が増える」と話した。(屋代良樹)