田中将大が見せた低めのスプリット 経験値が導く初勝利

有料会員記事

室田賢
[PR]

(24日、プロ野球=楽天2―1西武)

 仙台での登板は8年ぶりになる。

 東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大は当時、無敵だった。シーズンは、史上初の開幕24連勝。その姿が色濃いままのファンも多いだろう。

 それを感じてか、復帰の会見ではこう語った。

 「求められるハードルは高いと思っている。そこをまた飛び越えてやろうという部分も自分のやりがいの一つ」

 ただ、いまは20代の頃のように、直球で圧倒できるわけではない。復帰初戦も敗れた。

 それでも、多彩な変化球と緻密(ちみつ)な制球力で、大リーグの名門中の名門で7年間投げ抜いてきた経験は日本選手屈指。曲がり方が異なるスライダー、速さと落差を変えたスプリット。8年前とは違う熟練の投球をこの日、披露した。

 経験値を見せたのは、三回だった。

 1点を返され、なお2死一、三塁で西武の森友哉。ここで、田中将は渡米後にプロ入りした巧打者の打ち気を察した。

 「相手がアグレッシブに来ている」

 放ったのは、ボールになりそうな低めのスプリットだ。1球で二ゴロに仕留めた。最速は148キロでも、緩急をつけて6回を被安打3で1失点。「ゲームの中でアジャストできた」と田中将。四回からは一人も走者を許さなかった。

 円熟の投球に、石井一久監督は「途中からバリエーションを増やした投球をして、もう一度エンジンがかかった。1カ月間、実戦を離れて公式戦2試合でここまで仕上げるのはさすが」と感嘆した。

 田中将の国内のリーグ戦での勝利は、実に2755日ぶり。その一方、史上2番目に少ない試合数(177試合)で日本通算100勝を達成した。「7年、空いていたので実感がない。それよりは今季初勝利、チームが勝った喜びの方が大きい」と個人記録には関心を持たない。

 守護神・松井裕樹からウィニングボールを手渡されると、思わず笑顔がはじけた。お立ち台でファンに呼びかけた。

 「ただいま!」

 背番号「18」が去ってから楽天は優勝から遠ざかる。再び頂点へ。「東北、日本を盛り上げていけたら」。止まっていた時計の針が、また動き始めた。(室田賢)

     ◇…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。