福知山線脱線事故から16年 慰霊式は今年も中止

鈴木智之、寺沢知海
【動画】宝塚線脱線事故から16年 慰霊式は2年連続中止に=代表撮影
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 快速電車が脱線し、乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負ったJR宝塚線福知山線)事故が25日、発生16年を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大で追悼慰霊式は昨年に続き中止された。

 兵庫県尼崎市の事故現場の慰霊施設・祈りの杜(もり)では遺族や負傷者らが祈りを捧げ、事故発生時刻の午前9時18分前後には被害者向けにオンライン中継された。

 子を亡くした父親が寄せた慰霊の言葉も代読された。「高速化や速達性は確かに便利かもしれませんが、やっぱり安全が一番大切です。どうか天国から応援してください」

 JR西日本の長谷川一明(かずあき)社長はこれに先立って「お詫(わ)びと追悼のことば」を読み上げ、「事故を決して風化させることなく、安全の取り組みの原点としていく。環境は大きく変化しているが、どのような状況になっても重大な事故を二度と発生させない」と述べた。

 次男の昌毅(まさき)さん(当時18)を亡くした上田弘志(ひろし)さん(66)は現場を訪れ、孫が1歳になったと報告した。取材に「コロナのこういう状態ではあるけど足を運んでよかった。社長の言葉はいつも同じ感じ。言葉だけに終わらないよう、しっかり取り組んでほしい」と話した。

 元中学教諭の男性(66)は現場近くの線路脇に花を手向け、手を合わせた。教え子の女性が犠牲に。「私も通勤で使っていた電車だった。今でも人ごとと思えない」と話した。(鈴木智之、寺沢知海)