「トルネード」の教え 興南の好左腕が見せた成長の跡

坂名信行
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 最速は146キロという直球が魅力の興南(沖縄)の左腕・山城京平(3年)は、今年から同じ左腕のコーチの強力なバックアップを受けている。同校を2010年の甲子園春夏連覇に導いた島袋洋奨さん(28)だ。島袋さんのアドバイスを受け、山城は春季九州大会で早くも成長の跡を見せている。

 24日、大分県で開幕した春季九州大会2回戦。相手は昨秋の九州王者で、今春の選抜大会にも出場した大崎(長崎)だった。

 山城はキレのいい直球でぐいぐい押した。大崎打線を八回まで散発の3安打、無失点。九回こそ2失策が絡んで2失点したが、相手を圧倒する投球と言っても過言ではなかった。

 山城は「きょうは甲子園に出た相手にしっかりとコースを突くテーマ通りの投球ができた」と大きな手応えをつかんだ。

 山城のこの日の投球には、島袋さんが伝えている二つの要素が詰まっていた。

 一つ目は、直球を磨くこと。コーチになって最初に着手したことだという。「持っている特徴を磨くことが大切で、山城の場合は直球の強さ。プロでも僕がしてきたこと。そして磨いた直球を同じように投げられる再現性を養ってほしい」と語る。

 もう一つは、試合でテーマを持つことだ。

 大きく体をひねって投げることから「トルネード」と呼ばれて高校時代に活躍した島袋さんだが、大学に入って以降は苦しんだ。中大で、そしてソフトバンクで色々なアドバイスを受けたものの、消化しきれず、プロでは5年間で1軍で2試合しか投げられなかった。

 だからこそ、「自分がどうなりたいのか。自分で目標を決めて取り組んでほしい」。島袋さんは選手が決めた目標に寄り添って指導していくつもりだ。

 こうした考え方は、興南の我喜屋優監督(70)も同じだ。もともと、選手にスピーチをさせて自己表現や感受性を向上させるなど、選手に考えさせることを促してきた。我喜屋監督は「島袋たちの代はそういった人間力春夏連覇したからね。周囲の人や物事に気遣いができれば、野球もうまくなる。山城らもそんなチームになってくれれば」と話した。(坂名信行)