「働いて金をため、いつか専門学校か大学に進んでみたい」
少年院の中で二十歳を迎えた院生はそう夢を語り、「自分のような非行少年を支える仕事もしてみたい」と目を輝かせた。
見知らぬ男性を仲間と一緒に殴り倒し、財布から金を奪って逮捕され、茨城県牛久市にある少年院「茨城農芸学院」に入った。
高校を中退した自分はバカだと思っていたし、学校では宿題をしたこともなかった。だが、少年院で学ぶ喜びに出会った。高校卒業認定資格を取り、クレーンに資材を掛けたり外したりする玉掛けや、大型建設機械運転の資格も取得した。
「やればできるんだ」。小さな自信を積み重ねて新たな自分を見つけ、1年半の在院生活を終える。
「少年院に来て、失敗して、良かったんだ」。教官から言われた言葉が心に突き刺さった。人に流されやすかった自分の弱さにも気づかせてくれた。
社会に戻るにあたり、被害者…