人懐っこい完璧主義 アルベール・エルバスさんを悼む

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編集委員・高橋牧子
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 フランスを代表するファッションデザイナーのひとり、アルベール・エルバスさんがパリ郊外の病院アメリカン・ホスピタルで死去したことが25日、わかった。59歳だった。ここ数週間、新型コロナウイルスに感染して入院していたという。

 ドレープなどを駆使した優雅な作風で、ハイテク素材を使うなど革新性でも知られた。パリ風のエレガンスの中に、鋭い時代感覚と理知的な解釈を込めたデザイナーと評された。近年の創作のモットーは「人を幸せにするファッション」。本人も端正な黒いジャケットにちょうネクタイ姿がトレードマークで、ショーのフィナーレでは、巨漢を揺らすような独特の歩き方でおどけてみせたり、取材時にまずは最初に笑わせてくれたりと作品以外でも優しくハッピーな魅力を振りまいて人気のデザイナーだった。

 モロッコのカサブランカ生まれで、イスラエルで育った。デザインなどを学び、1985年から米ブランド、ジェフリー・ビーンで働いた。1996年から仏ブランドのギ・ラロッシュなどを経て、98年~2000年までイヴ・サンローランを手掛けた。

 その最初のパリ・コレクションを見た時の驚きはいまも忘れられない。創始者サンローランのシャープな作風を踏襲しつつも、肩の丸みやドレープの寄せ方などディテールの一つ一つを入念な細工で仕上げ、大胆なフォルムでしかもうっとりするほど優雅でフェミニンな作品ばかりだったからだ。

 以後はクリツィアなどを手掛けていたが、01年から15年まで老舗ランバンを担当し、人気ブランドとして再生させた。

 デザインはシンプルだが品格があって、立体的で流れるような仕立てが女性の体をきれいに見せるとして人気だった。彼がランバンを辞めてから同じようなジャンルの服が市場になくなり、「アルベール・ロス」に陥ったおしゃれな女性が多かったといわれる。

 12年にランバンのデザイナ…

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