愛国とは中国共産党を愛すること 香港の自治は骨抜きに

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聞き手・桜井泉
写真・図版
阿古智子さん=東京都内、久田貴志子撮影
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 中国・習近平(シーチンピン)政権による香港への支配が強まっている。「高度な自治」が骨抜きにされ、民主派の政治参加の道は事実上閉ざされた。香港で何が起きているのか、香港の危機から何を学んだらいいのか。中国や香港で、体制に異議を申し立てる人々に長く寄り添ってきた東京大学教授の阿古智子さんに尋ねた。

 ――中国共産党の主導で香港の選挙制度が変わりました。

 「香港政府トップの行政長官や立法会(議会)議員の選挙の事前審査で『非愛国的』とされると、立候補することができなくなります。香港基本法は普通選挙を目指すと規定していますが、その道は閉ざされました。1997年に香港が英国から返還されたとき、中国が約束した『一国二制度』のもとでの高度な自治は、まやかしだったと言わざるを得ません」

 ――そこでいう「愛国」とはどういう意味ですか。

 「祖国や故郷を愛する自然な気持ちではなく、中国共産党とその支配体制を愛するということです。まさにそれは、香港の政治から民主派を排除するために設けられた規定です。ただ、どんな体制でも権力側は、愛国心を押しつけたがります。日本でも政府、自民党が『愛国心教育』を強調してきたことを思い起こします」

 阿古智子さんは、香港の民主活動家の周庭さんを東京に招いて講演会を開くなど、親交を深めていました。記事の後半では、禁錮刑の判決を受ける前に周さんが語っていたことなどを通じ、日本の現状を語ってもらいました。

 ――返還時は留学生だったのですね。

 「香港大学大学院で教育学を学び、日本の放送局のアルバイトをしながら返還を見守りました。こんな形で中国に主権を返していいのかと英国側に訴えた香港の政治家もいて、悲観論は根強くありました。でも私は楽観的でした。香港が英国の植民地支配から解放され、現地の人々が自らの政治制度をつくっていく。一方、中国は香港を『世界への窓』と位置づけ、経済を発展させ、政治体制もオープンにしていくと。見方が甘かったと言われればその通りです」

 ――情勢が緊迫する中、一昨年末、香港を再訪したそうですが。

 「警察が若者たちを激しく抑…

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