戒律とはなにか、鑑真の教えをたどる 特別展を巡って

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編集委員・中村俊介
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 偉大な高僧・名僧たちもまた、悩み葛藤しつつ仏の教えに迫ろうとしたのだろう。京都国立博物館京都市東山区)の特別展「鑑真(がんじん)和上と戒律のあゆみ」(5月16日まで。11日まで臨時休館)の会場を巡り、そんな思いに駆られてしまった。

 8世紀、戒律の伝授を請われて来日を決意した中国の高僧、鑑真(688~763年)は5度もの渡海失敗にもくじけず、失明までして日本上陸を果たす。その劇的な人生と揺るぎない強靱(きょうじん)な意志は井上靖の小説『天平の甍(いらか)』でもおなじみだ。同展では、そんな鑑真の威徳をゆかりの唐招提寺の寺宝などからたどる。

 有名な奈良時代の「鑑真和上坐像(ざぞう)」(国宝)。乾漆造りの表面にはわずかにあばらが浮き、まつげやひげまで丁寧に施された写実性に圧倒されるし、鑑真請来(しょうらい)の「如来舎利三千粒(にょらいしゃりさんぜんりゅう)」を納めるためにつくられた国宝「金銅舎利容器(金亀舎利塔)」の放つ黄金の輝きはまばゆいばかり。「東征伝絵巻」(重要文化財)には、彼が戒律を日本にもたらすまでの苦難の道が、鮮やかな色彩で生き生きと活写されている。

 ところで、同展のテーマでも…

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