岐阜県独自の非常事態宣言 時短など始まる 国に憤りも

新型コロナウイルス

高木文子、松永佳伸

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 新型コロナウイルス対策の岐阜県独自の非常事態宣言期間が26日から始まった。岐阜、大垣、多治見など県内9市の飲食店など(約9600店舗)には、午後8時までの営業時間の短縮も要請された。大型連休を前にした「自粛」の呼びかけに、県民からため息がもれた。

 県内では新型コロナウイルスの変異株への感染者が急増している。特に20代以下が感染者の半数近くを占め、県は強く警戒を呼びかけている。

 県内の新型コロナ感染者へのスクリーニング検査で、2月24日~4月25日に計136人が変異株に感染していることがわかった。これまで変異株感染者を含むクラスター(感染者集団)は16件発生。御嵩町の教会ではイースター(復活祭)で昼食をともにした外国人住民ら49人が感染するクラスターが発生した。

 年代別では、変異株感染者の約半数が20代以下だ。県庁で23日にあった会合で、県病院協会の冨田栄一会長は「若い人でも重症化や後遺症に苦しむケースがある。後遺症では倦怠(けんたい)感、せき、呼吸困難、嗅覚(きゅうかく)異常や脱毛の頻度が高い」と説明。県医師会の河合直樹会長も「(変異株は)重症化のスピードが速い。特に若い方には行動変容を強く促したい」と訴えた。

 4度目となった今回の非常事態宣言。県はマスクや手洗いなどに加え「飲食は大人数を避け、短時間で深酒をしない」「県をまたぐ不要不急の移動は控えて」などと呼びかける。

 これまでの感染拡大の局面では、若者から家庭、福祉施設に感染が広がり、高齢者の割合が増えた。新型コロナによる死亡率は県内平均で2・3%だが、70代以上では13・8%にのぼる。宣言は「(感染が)高齢者にシフトすると急激な病床の逼迫(ひっぱく)を招く」としている。

 県内の新型コロナ感染者は、国の緊急事態宣言が解除された3月1日以降、759人確認された(22日現在)。地域別では岐阜地区が350人(46%)を占める。人口10万人あたりの感染者数は、岐阜地区が44・1人、中濃地区が45・2人、西濃地区が34・6人などとなっている。

 対策期間は5月11日まで。県は特措法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用も、近く国に要請する。古田肇知事は26日、愛知、三重両知事とテレビ会議を開き、共同メッセージを出した。取材に「(3県は)行き来の多い地域。連休を前にとにかく県境を越える移動は控えてほしいと一致し、それぞれ県民に訴えていく」と話した。(高木文子、松永佳伸)

 関市の小瀬鵜飼(おぜうかい)を運営する関遊船は、5月11日からの鵜飼漁と観覧船の運航を中止することを決めた。当日は鵜飼開きの神事だけを少人数の関係者だけで実施する。開始時期は、国や県などの動向をみて判断する。

 昨年はアユ漁と観覧船の運航は6月1日まで延期となった。その後も集中豪雨などで中止が相次ぎ、観覧船の乗客は前年に比べて7割近く少ない2251人にとどまった。2年連続の中止に関遊船の永田千春事務長は「非常事態宣言が解除されるまで再開できない。経営的に厳しいが、一日も早く鵜飼いが楽しめるように願うしかない」と話す。

 岐阜市金華山山頂にある「岐阜城」では、29日から5月5日まで予定した午後9時半までの夜間営業を中止する。天守からは360度に広がるパノラマ夜景を売りにしている。市の担当者は「夜景スポットとして人気があるだけに残念」と話す。

 開館以来、予約制を続ける関ケ原町の岐阜関ケ原古戦場記念館。大型連休中の予約は順調だが、1月の緊急事態宣言の際にはキャンセルが相次いだという。担当者は「今後の反応が心配だが、家族連れなどの小グループが、安心して歴史を学べるよう配慮を続けたい」と話した。

 大垣市の大垣城は昨年はコロナ禍で4~5月に休館した。今年は開館を続ける予定だが、市内では「大垣まつり」で「軕(やま)」の巡行を中止するなど観光への影響が出始めている。田村公美子館長は「古戦場記念館を訪れた人が帰路に寄ってくれるなど、よい影響が出ていた。今後の影響が心配です」と話す。

 多治見市内が舞台のテレビアニメ「やくならマグカップも」の放送が4月に始まり、市はアニメファンの来訪を期待していた。市経済部の長江信行部長(56)は「コロナがなければ全国から『来てください』という状況だった。非常に残念だが、いまは我慢の時」。

 コロナ禍で人気が高まっているキャンプにも影響が出ている。大型連休を前に国の緊急事態宣言が出された影響で、対象地域の東京や大阪方面からのキャンセルが相次いでいるという。

 高山市の「奥飛驒温泉郷オートキャンプ場」はグループごとの間隔を空けたり、複数の家族やグループによる食事を控えるよう呼びかけたりして営業している。「ソロキャンプ」などブームの一方、屋外での飲食による感染リスクが指摘されていることから、キャンプ場の担当者は「感染対策を徹底しているが、営業して良いものか悩ましい」と話す。

 同じ地域にある「平湯キャンプ場」では利用者の密集を避けるため、3割ほど予約に制限を設け、営業しているが、キャンセルの連絡があるという。担当者は「感染が全国的に増えている以上、仕方ない」と肩を落とした。

 JR岐阜駅前では、大型連休前の宣言に、嘆きの声が聞かれた。愛知県の大学に通う岐阜市内の男子学生(20)は「年末年始や大型連休になると宣言などで移動が制限される。その後に解除されて、また感染者が増えるという繰り返し。国は計画性がない」と憤った。大型連休には帰省を予定していたという市内の30代の女性会社員は「祖父母にずっと会えていない。仕方がないのかもしれないが、(宣言だけでなく)ほかに方法はないのかと思う」と諦め顔だった。

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 岐阜県岐阜市は26日、10歳未満から70代の男女31人が新型コロナウイルスの感染したと発表した。県内の感染者は延べ5544人となった。入院していた土岐市の70代男性が亡くなり、県内の死者は131人に。すでに感染が確認された人のうち、6人から変異株が見つかり、県内の変異株感染者は計142人となった。

 大垣市の高齢者福祉施設で発生したクラスター(感染者集団)では、職員3人と利用者1人の感染が確認された。また、岐阜市の接待を伴う飲食店のクラスターでは感染した従業員と一緒に食事をした友人2人と、店の利用客1人が陽性となり、感染者は11人となった。

 県によると、富山県で検査を受けた白川村の50代男性が陽性となった。同村での感染者は初めてで、県内すべての市町村で感染者が出たことになる。

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 26日に感染が発表された31人の居住地は次の通り。

 岐阜市10人▽羽島市3人▽可児市3人▽美濃加茂市3人▽垂井町2人▽瑞穂市1人多治見市1人▽高山市1人▽大垣市1人▽関市1人▽本巣市1人▽池田町1人▽岐南町1人▽北方町1人▽愛知県1人(岐阜県で検査)

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