「赤ん坊いても、ひとり」宣言下の育児 孤独にじむ舞台

有料会員記事新型コロナウイルス

田渕紫織
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 突然始まったコロナ禍から、2度目の春。そして3度目の緊急事態宣言。「赤ん坊がいたら1人じゃないって……。でも、余計に1人のような気がする」――。ある劇作家は、宣言下の息子(3)の育児で感じた孤立感を、まもなく公演予定の戯曲に詰め込んだ。

 作者は文学座に所属する劇作家で、俳優でもある山谷(やまや)典子さん(44)。1月に予定されていた公演は、2度目の緊急事態宣言を受けて一度延期になった。今回の3度目の宣言が明けた後、5月13日から始まる予定だが、不安な思いで感染状況を見守る。

 〈ずっとカーテンを閉めたまま出てこないんだ。俺も連絡しようと思ってたんだけど……〉

 〈赤ちゃんと2人きりですよね……〉

 〈うん。5月だからもう……10か月か〉

 舞台は、コロナ禍の東京都内にある、小さなパン屋の奥のアパート。主人公は、その一室に住む母親だ。出産後に一度も姿を見せない親子を、ほかの住人や店員たちが心配する。

 〈コロナ禍の出産だったから、周りの手助けを全く受けられなかったみたいなんだよね〉

 〈しんどいよねえ。ふつうだって大変なのにさあ〉

 山谷さんは一昨年、子育て中の経験を投じて台本を書き始めた。

 書き上げた後に、新型コロナウイルスの感染が拡大。産婦人科医や産後ケアセンターの職員にも取材して、改稿していった。

 〈しかし、何してるんだろうな。ずっと赤ん坊と家にいたままでさ〉

 〈え? 赤ちゃんかわいいし、いいじゃないですか〉

 〈いやいやいや、一日ずっと赤ん坊と2人きりでいてみ? 罰ゲーだから〉

 主人公が吐露するせりふには、自身の産後、仕事に復帰する前に毎日感じていた思いをにじませた。

 〈誰かが……いてほしい………

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