見えた太陽光発電の「生態」 脱炭素と里山保全の両立は

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編集委員・佐々木英輔
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 ソーラーパネルは、どんな場所を好んで増殖しようとするのだろうか――。生きものの分布を推測するのと同じ手法で、太陽光発電施設の「生態」を探った研究を国立環境研究所のグループがまとめた。

 全国の施設のデータベースを手がかりに、航空写真などから面積を測り、もとの土地利用を調べた。さらにパネルが立地しやすい場所の傾向を分析し、今後、太陽光発電が増えるとどうなるかを予測した。

 すると、里山や農地のような身近な環境が脅かされかねない状況が具体的に見えてきた。

 全国の出力500キロワット以上の施設の総面積は229平方キロ。大阪市に匹敵する広さで、3分の2を1万キロワット以下の中規模施設が占めていた。雑木林や人工林だったところが最も多く、草原、畑、水田が続いた。鳥獣保護区や国立公園などの自然保護区にも35平方キロ分あった。

 当然ながら、ソーラーパネルは日当たりのよい場所を好む。さらに、標高の低さや人口密度の高さも立地に関係していた。建設されやすさの分布を地図に描くと、平野部の郊外が目立つ結果になった。手ごろな土地を見つけては次々に生息地を広げていく。そんな「習性」が浮かぶ。

 この習性のまま発電量を2倍にすると、自然保護区への設置は3倍近くに増えると予測された。一方、保護区に制限をかけて都市でつくりやすくすれば、樹林や農地が失われる面積を3%は減らせる結果が出た。

 研究の背景には、脱炭素に向けて再生可能エネルギーを拡大する世界的な流れがある。特に太陽光は短期間で建設しやすい。「自然環境が持つ価値は認識されにくく、気付いたら社会的な損失が生じていたことになりかねない。バランスのよい対策を考える基礎データになれば」と研究グループの西広淳さんは言う。

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