ドクターカー開発 八戸工大と市民病院に科学技術賞

横山蔵利
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 移動型緊急手術室「ドクターカーV3」の開発で、青森県八戸市にある八戸工業大学の浅川拓克准教授(52)と八戸市立市民病院の今明秀院長(62)が、文部科学大臣表彰の科学技術賞(開発部門)を受賞した。現場に駆けつけ、その場ですぐに救急処置することができ、搬送に時間がかかる地域での救命率向上に役立っているという。

 ドクターカーV3は高次緊急処置車。ワゴン車タイプの車両を改造し、停車した状態で後部にテントで覆うように施術スペースを確保した。手術道具や酸素ボンベ、人工呼吸器などのほか、体外式膜型人工肺(ECMO〈エクモ〉)も備えてある。

 一般的に、出血性ショックや心肺停止では、治療開始までの時間が生死を大きく分ける。特に、へき地の救急医療では、高度な医療施設までの搬送に時間がかかるため、助けることができなかったケースも少なくないという。

 同市民病院は2016年7月にドクターカーV3を配備し、運用を始めた。同病院によると、今年3月末までに19回出動。7件でエクモ装着の緊急手術をし、そのうち2人は社会復帰するまで回復したという。

 同大で今月27日、賞状と盾が手渡された。開発者の浅川准教授は「スペースをどのように確保するのか。機能性とデザインに苦労した」と振り返り、「改良を続け、5Gなどにも対応できるようにしたい」と医工連携に意欲的だ。

 今院長は「屋外での手術など法律の壁が多かった。アイデアと熱意で乗り越えた。(今回の開発は)へき地の救急医療に貢献している」と高く評価した。(横山蔵利)