原発処理水「北斎も心配」 中国外務省幹部がツイート

北京=冨名腰隆
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 東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する日本政府の方針について、中国外務省の趙立堅副報道局長は26日、ツイッター葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を模した画像を投稿して批判した。中国政府の批判は連日続いており、国際原子力機関(IAEA)による検証に参加する意向を示している。

 投稿された画像は、中国のイラストレーターによる作品という。背景の富士山を原発とみられる施設に書き換え、大波を進む船上から防護服姿の作業員が汚染水らしき液体を海に捨てる様子が描かれている。趙氏は「葛飾北斎が今も生きていたら、日本の『核の水』について大変心配するだろう」と皮肉った。茂木敏充外相は27日の会見で、投稿を見たとしたうえで「報道官レベルのツイートにいちいちコメントしないが、今回の件は外交ルートを通じて直ちに厳重抗議し、削除を求めている」と述べた。

 趙氏はこれまでも、「太平洋は日本の下水道ではない」などと日本の対応を厳しく批判したり、「飲んでも何ということはない」との麻生太郎財務相の発言に「飲んでから言ってほしい」などと反論したりしている。

 中国の主張の核心は「日本は関連情報を全面的に公開せず、周辺国や国際社会とも協議していない」(王毅(ワンイー)国務委員兼外相)というものだ。国営新華社通信は21日の「情報のブラックホール」と題した論評記事で、「東電が発表した資料では二次処理後もトリチウム以外のヨウ素やセシウムなどが含まれ、ALPS(多核種除去設備)の運用にも疑問が残る」と指摘した。

 日本政府は処理水の放出決定について「米国やIAEAから評価を得ている」とし、IAEAから安全性の確認も受けるとしている。これに対し、中国外務省の汪文斌副報道局長は26日の定例会見で、「IAEAが作業グループ設置の準備を進めており、最近、中国の専門家の参加要請を確認した」と表明。「中国はIAEAによるフォローアップを全力で支援する。日本は海洋放出を始める前に、中国など利害関係国と国際社会の懸念に確実に応えるべきだ」と念押しした。(北京=冨名腰隆