「カフカ」の世界へ 村上さん作品舞台オンラインツアー

木下広大
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 【香川】作家の村上春樹さんの長編小説「海辺のカフカ」は、高松市周辺が主な舞台だ。地元NPOや村上文学の研究者らが、香川県内各地をオンラインでめぐり、小説の世界を体感できるツアーを実施している。

 「海辺のカフカ」は2002年発表の村上さん10作目の長編。東京の実家を家出した15歳の少年が、高松や四国で不思議な出来事を経験し、成長していく物語だ。少年の家出先は「高松」と明記されている。

 2月にあったツアーには約50人が参加。ツアーでは、日本庭園の砂利道を進む映像に合わせて解説者が、作中で少年が図書館前の庭を歩く場面を音読するシーンがある。撮影されたのは、鎌田醬油(しょうゆ)が運営する坂出市の鎌田ミュージアムの一角。解説を担当した専修大の高橋龍夫教授は、ミュージアム内の建物や庭が、少年が滞在する図書館に似ていると指摘する。

 他にも小説の描写から、少年が高松駅前で食べたうどん店や宿泊したホテル、訪れた神社、コンビニなどを「特定」した。登場人物が重たい石を持ち上げる場面は、高松市の屋島にある「四国村」の力試しの石で体感できることなども紹介している。

 ただ作者の村上さんはこれまで、少年が作中で訪れる図書館や神社について「モデルは一切ありません」と公言している。

 ツアーを企画した高松市のNPO「せとうちJ・ブルー」理事長の西村裕作さん(66)は、「ツアーで紹介する場所はあくまでイメージ。作中の建物が実在したらこんな感じかな、と想像を膨らませて楽しんでほしい」と話す。

 高橋教授は「村上春樹イタリアギリシャに滞在していたことがあり、瀬戸内はエーゲ海をほうふつとさせる癒やしの場所として映ったのではないでしょうか。15歳の孤独な少年を再生させる物語の舞台として最適だったと思います」。西村さんは、「コロナが収まったら、現地を巡るツアーも開きたい」と意欲を見せる。

 オンラインツアーは4月29日と5月3日にも開催される。各回午前11時~正午で、税込み1800円。予約は旅行会社HISのホームページ(https://www.his-j.com/oe/detail/T2/?area=O9別ウインドウで開きます&country=JPN&city=HIJ&product=HIJ0006)から。(木下広大)