パリもうなった竹細工 石田さんら18人・1団体に褒章

小松万希子
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 【京都】春の褒章が発表された。府内では、社会奉仕活動に従事した団体への緑綬褒章に1団体、長年一つの仕事に励んだ人をたたえる黄綬褒章が12人、産業の振興などに尽くした人への藍綬褒章が6人に贈られる。発令は29日付。

パリもうなった竹細工 黄綬褒章 石田正一さん

 竹の肌を眺めると、伐採前の姿が見えるという。曲がり具合や柔らかさ。そうした自然の姿に逆らいすぎないようにして、竹細工に取り組んできた。「竹の話も聞いてやらんとね」

 1本のなたと2種類の小刀。道具はこれだけだ。竹を割り、薄く削って編む。100種類以上の編み方で、花かごやバッグ、茶道具などを、繊細な凹凸をつけて作っていく。

 戦後に工房「竹美斎(ちくびさい)」を始めて「平安竹美斎」を名乗った父親に、15歳ごろから教わってきた。「面白いと思うまでに20年かかりました」。跡を継ぎ、がむしゃらに技を身につけた。40歳を過ぎ、多様な編み方が指先に染みつくようになるとともに、竹の奥深さに魅了されたという。

 熟練技を見込んで、様々な依頼が寄せられてきた。

 例えば、1992年に完成した愛知県芸術劇場の「アルミニウムの天井」。数メートル四方のドームが延々と連なる幻想的な天井を、幅2センチの薄いアルミで編み上げた。機械では設計通りに造ることができなかった建設会社からの依頼だった。

 2005年には、世界的デザイナーの三宅一生さんの依頼で、パリ・コレクションのための竹ドレス制作に参加した。茶せんのような繊細なシルエットが、ファッション業界で好評を博したという。

 「頼まれたことをやってきただけのことで。依頼した人が喜んでくれる、それだけが大事です。相手あっての仕事ですから」

 淡々と喜びを語った。

京の和牛で世界に挑む 黄綬褒章 大西雷三さん

 シンガポールにも店を構える京都市左京区の精肉店「銀閣寺大西」の3代目は、せりには必ず足を運び、仕入れる肉を自分の目で確かめる。「一頭一頭に個性があり、味が違う。いまだに新しい発見の連続です」

 中学生の頃から店番や加工を手伝い、大学卒業後に社員に。26年前に取締役に就き、会社を率いてきた。

 「食べているから分かる。京都の牛は通用する」と、2015年に挑戦を決めたのが海外進出だ。

 神戸牛松阪牛などのブランド和牛が既にしのぎを削っていたが、海外では霜降りの脂が苦手な人も多いのが実情。一方、京都産のブランド和牛「京都肉」は、寒暖差の大きい環境で長期飼育することで、脂がさらっとして上品な味わいが特徴だ。アジア各国の商談会で試食してもらうと、大好評となった。

 現在、米国や欧州など18カ国に輸出している。19年にシンガポールで海外1号店をオープン。今年6月には2号店を開く予定だ。

 おいしい肉を安心して食べてもらう取り組みにも力を入れてきた。

 1996年に大阪の小学校で起きたO157食中毒で女児3人が亡くなったことに衝撃を受け、肉の管理方法を刷新。ビルを増築してエアシャワーや大型冷蔵庫など、大規模工場のような設備を導入した。2001年には品質管理の厳しい国際基準「HACCP」と「ISO9001」を取得。両方取った食肉販売企業は国内初だったという。

 子どもの頃から食卓は肉料理が中心。仕事でも試食の連続だが「全く飽きません」。(小松万希子)