医師殺害事件の被告「控訴取り下げたい」 弁護側も初耳

坂田達郎
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 山形県東根市のマンションで2019年5月、眼科医の女性を殺害したとして殺人と住居侵入罪に問われた元山形大生、加藤紘貴被告(25)の控訴審初公判が27日、仙台高裁(秋山敬裁判長)であった。懲役18年の実刑とした一審・山形地裁判決を巡り加藤被告は「一審で否定した起訴状の内容をすべて認める。いますぐにでも控訴を取り下げたい」と述べた。

 弁護側は控訴趣意書で、一審判決について「殺意や完全責任能力があると認定したことは重大な事実誤認」だと主張。服用していた薬とアルコールの併用で心神耗弱の状態だったなどと減刑を求めており、被告と主張が食い違う異例の展開となった。

 一審判決によると、加藤被告は19年5月19日午前5時20分ごろ、東根市さくらんぼ駅前3丁目のマンション2階の矢口智恵美さん(当時50)方に侵入。頭をゴルフパターで多数回殴り、殺害した。事実関係に争いはなく、殺意や責任能力の有無が争点だった。

 加藤被告はこの日、被告人質問で「刑が軽くなりたいがために、一審で起訴状の内容を否定した」と明かし、「犯罪を正直に認め、罪をつぐないたいと切実に思っている」と話した。理由についてはつじつまの合わない発言を続けた。

 加藤被告は逮捕後、約3カ月間の鑑定留置を経て、同年10月に起訴。昨年12月の一審判決を不服として控訴した。

 公判後、弁護人は報道陣の取材に応じ、「控訴を取り下げたいという言葉は、被告からきょう初めて聞いた」と説明し、意向を確認する考えを示した。(坂田達郎)