町工場発おしゃれフェースシールド アパレル業界に反響

市原研吾
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 広島市の金型工場で生まれたフェースシールドが、パリ・コレクションの舞台裏やドラマのロケ現場で活躍している。顔全体をしっかり覆いつつ、見た目はごつくなく、おしゃれなものがあればいいのに――。そう考えた専務が、ならば自社で作ろうと思い立った。

 自動車部品の金型を中心に手がける創業84年の平岡工業。専務の平岡良介さん(40)は、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた昨年2月、取引先が抗菌・抗ウイルスのフィルムを開発したことを思い出した。抗菌製品技術協議会(SIAA)の認定を受けたものだ。

 フレームなどに金型の技術をいかしながら試作を重ね、昨年5月に最初の商品ができた。ブランド名は「HIRAX」に。ただ、バンドで頭に巻くので夏は暑く、額にあたるスポンジにファンデーションがついてしまう。

 自然な見た目にし、髪形や化粧が崩れないようにするには、どうすれば……。着け心地と見た目にこだわり、さらに改良を続けた。

 めざしたのは額あてもバンドもない新しいタイプ。8月にクラウドファンディング開発援助と応援購入を呼びかけた。目標額は30万円。開始3時間で達成し、2週間で500人以上から計556万円が集まった。

 鼻あてのない「浮く眼鏡」を作る眼鏡会社「21」(広島市)にも協力を求め、顔の横で固定してずれないようにした。「着けていないように見える」ことをめざし、金型でフレームや顔横の装着部を作った。

 新しい商品は9月に売り出された。歌って踊ってもずれないか試そうと、子ども用を芸能スクールに持ち込んだ。そこからテレビ局のプロデューサーらに話がいき、テレビ朝日系の刑事ドラマ「遺留捜査」のロケ現場で活躍した。ファッションブランド「アンリアレイジ」のデザイナーからも依頼があり、9月と今年3月にパリ・コレのオンラインショーの舞台裏で使われた。

 メンテナンスも原則不要で、気になれば中性洗剤で拭くだけ。ファッション業界などに広がり、販売数は1万5千個を超えた。平岡さんは「着けていることを忘れてしまう作りを心がけたので、緊急事態宣言下の生活に溶け込んでほしい」と話す。

 目元を覆うハーフ型は税込み5478円、フル型は6578円。フレームは透明と黒が選べ、サイズは子ども用、小さめ(M)、通常(L)がある。問い合わせは平岡工業(082・849・6007)。(市原研吾)