動物園は「不要不急」の存在なのか 休園でわかったこと

有料会員記事新型コロナウイルス

有近隆史
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 自分たちは「不要不急」の存在なのか――。新型コロナウイルスの感染拡大で、休園を余儀なくされた動物園や水族館はこの1年、施設の存在意義を自問する日々を過ごしてきた。客のいないなかで試行錯誤した結果、ある「確信」が得られたという。

 スマトラトラやマヌルネコなどがいる民間動物園「神戸どうぶつ王国」(神戸市中央区)は、3度目の緊急事態宣言が出たことで休業要請の対象に。4月25日から臨時休園に追い込まれた。

 直前にアフリカの湿地を再現したエリアをオープンさせた。巨大なくちばしが特徴の鳥「ハシビロコウ」の繁殖をめざす取り組みだ。

 感染対策もしっかり行い、準備を進めてきた矢先の休園。佐藤哲也園長は「5月は売り上げがもっとも大きな1カ月。仕方ないとは言え、補償の話もなかなか見えず、受け入れられない思いもある」と語る。休業要請が緩和されたことで5月14日から営業を再開したものの、通常営業にはほど遠い状況だ。

1年前は「ほぼ壊滅状態」

 コロナで休園するのは、国内で感染が急拡大した昨春に続き2度目。このときは3月3日から5月28日まで、一時再開をはさみながら休まざるをえず、「ほぼ壊滅状態だった」(佐藤さん)。2014年の開園以来、年間の来園者数はずっと右肩上がり。19年度は100万人突破も見えていたが、初めて前年度を割り込んだ。

 公営の動物園などに比べ、同園のような民間施設は入場料と飲食や物販の売り上げが主な収入で、休園すればそのほとんどが消える。昨春は飼育環境を維持するための費用や約80人の従業員の人件費を削減せず、借り入れや補助金などを使ってやりくりした。

 一方で、同園が大切にしてきた「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みは、岐路に立たされた。国内の哺乳類の中で最も絶滅の恐れが高いとされる「ツシマヤマネコ」の生育環境を守るために餌場である田んぼを守る活動や、日本固有のトゲネズミ類を絶滅から守る活動などだ。「CSR(社会貢献)ではなく、動物園としてしないといけない『責務』」(佐藤さん)と考えていたが、こうした取り組みにお金をかける余裕がなくなった。

 窮余の策として、同園は昨年…

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