女子の甲子園に各地で歓喜 ナックル姫も「あこがれた」

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 「甲子園は夢のまた夢。今でもまだ信じられない」。硬式野球の高校生女王を決める舞台が今年、夏の甲子園になる。現役の部員や経験者、指導者は驚き、喜び、思いを新たにした。

 全国高校女子硬式野球連盟と全日本女子野球連盟は28日、第25回全国高校女子選手権大会(兵庫県丹波市、全国高校女子硬式野球連盟主催)の決勝を、男子の第103回全国選手権大会の休養日にあたる8月22日に甲子園で開催することを発表した。

 7月24日の開幕から8月1日の準決勝までは丹波市で行う。

 「女子は行けないものだと思っていたのでうれしい。新しい目標ができた」

 今春の選抜大会を制した開志学園(新潟)の三浦帆菜主将(3年)は小学2年の頃から毎年、男子の夏の選手権大会を見てきた。その場所に自分たちが立てるチャンスが巡ってきたことに笑顔をみせた。

 漆原大夢監督(27)は2010年の第92回全国高校野球選手権大会で、新潟明訓の一塁手として出場した。「甲子園は男女問わずに特別な場所。そこで野球ができるのはありがたい」と歓迎。その上で「あの舞台に立つだけの力はあると思うが、上位校の実力は僅差(きんさ)。決勝にいかせてあげたい気持ちがより強くなった」と気を引き締めた。

 しのぎを削るライバルたちも吉報を喜んだ。

 「自分自身の夢で、行きたいと思っていた場所。すごい夢の舞台に女の子でも立てる。すごいうれしい」

 履正社(大阪)の花本穂乃佳主将(3年)は声を弾ませた。選抜大会決勝で開志学園に敗れた。早速、ダルマに「甲子園 初優勝」と目標を書いた。「最後の夏、決勝に行きたい」

 17、18年に日本代表を率いた履正社の橘田恵監督のもとには、卒業生から「ぜひ頑張って」とLINEが届いたという。「今までやってきた子たちの思いもある。まずは1試合だけど、それぞれにチームが頑張って、(裾野が)ここから広がっていけばいい。今まで小、中学校で野球を諦めていた子が続ける一つのきっかけになれば」と話した。

 中学時代に大阪の硬式野球チーム、大淀ボーイズのエースとして日本一になった経験のある神戸弘陵高の島野愛友利(あゆり)投手(3年)は「最後の夏に(甲子園に立つ)チャンスをもらえた。めざす場所があるのはすごく大切」と喜んだ。

 直球は最速120キロ超の実力。選抜大会準決勝で履正社に負け、3連覇を逃した。甲子園のマウンドからの景色を見るという新しい目標もできた。「女子野球の価値が認められてきた。もっと力をつけて、高いレベルの女子野球を見せられるようにしたい」と意気込んだ。

 女子プロ野球界の「レジェンド」で、日本代表としてワールドカップに3度出場した小西美加さん(38)は「男のスポーツと思われてきた野球を女子がすることに理解が得られる」と歓迎する。

 自身も兄の影響で少年野球チームに入り、小学6年のときはエースで主将を務めた。ただ、その後はプレーできる受け皿を見つけられず、陸上やソフトボールに転向し、大学卒業後に再び硬式野球を志した。「『甲子園をめざす』と言うことができれば、周囲の目も変わる」

 現在は京都文教大で総監督兼選手として後進の育成に尽力する。「私が甲子園の土を踏めたのは、男子のプロ野球で始球式をさせてもらったときだけ。正直言って(現役世代に)嫉妬もあるけれど、女子の試合を見てもらえるのは楽しみ。きっと、『思っていたよりうまい』と言って頂けると思う」と、決勝を心待ちにする。

 高校時代から社会人チームに所属し、得意の球種から「ナックル姫」と呼ばれた吉田えりさん(29)は「甲子園で闘争心あふれる田中将大投手(北海道・駒大苫小牧高、現楽天)にあこがれました」と話す。現在は社会人チーム、エイジェックの選手兼コーチ。「このうれしいニュースで選手たちの間の話題は持ちきり。野球をする女子が増え、女子の社会人、プロ野球も盛んになってほしい」と望んだ。