第2回「自民の自滅」崩れた岩盤  野党の「一枚岩」も遠く

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東郷隆、比嘉展玖
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乱流 保守王国
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 河井案里氏の当選無効に伴う参院広島選挙区の再選挙は25日に投開票され、野党系候補が自民候補らを破って幕を閉じた。いずれも自民を離党した案里氏や夫で元法相の克行被告による買収事件に端を発し、「政治とカネ」への不信がうねりとなった今回の選挙。保守王国・広島で起こった「乱流」のワケを各党の動きから探る。

 再選挙の投票が締め切られて間もない25日夜。広島市内の会場に詰めていた野党系候補の陣営幹部は、テレビで流れた出口調査結果に目を見張った。

 自民支持層の2割超が野党系候補に流れ、自民候補より優勢――。「信じられん。『王国』の岩盤が崩れたのか」

 事実上、候補者を一本化した野党。批判票を分散させずに歴史的な勝利につなげたが、別の地殻変動も水面下で進んでいた。

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党派色を薄め、推薦政党の県組織などによる政治団体「結集ひろしま」公認として臨んだ野党系候補(左)=2021年4月24日午後4時22分、広島市安佐南区、東郷隆撮影

 「変な気分じゃのう」。25日、元建設会社長の男性(71)は、自嘲気味につぶやいて野党系候補に投票した。自民候補以外に入れるのは生まれて初めてのことだ。

 自民党員になって約50年。国政選挙のたびに党本部から広島入りする国会議員を送迎し、多額の寄付もしてきた。

 だが、元法相の河井克行被告や妻の案里氏=いずれも自民を離党=による買収事件で、期待は失望に変わった。何より許せないのが、党本部が夫妻側に提供した1億5千万円について正面から説明しようとしない姿勢だ。「自分が応援してきたのはこんな政党だったのか」

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野党系候補の応援には立憲の蓮舫氏(左)や辻元清美氏(右)ら知名度の高い国会議員が数多く駆けつけた=2021年4月24日午前11時0分、広島市安佐南区、東郷隆撮影

 選挙前、男性は野党への支持を求めるはがきを、同じく自民を支えてきた知人十数人に送った。「今回だけ頼む!」と書き添えた。「野党は嫌い。でも、自民に怒りを伝えるのはこれしかなかった」

 身内から吹き出した自民への逆風を、立憲民主県連の幹部も感じとっていた。

 選挙戦序盤、ダメ元で自民支持層にも広げた電話作戦。「自民は一回休み」と語るタクシー会社長、「今回は棄権」と明言する克行被告の元支援者。買収事件や、その後の自民党本部の対応への不満は予想を上回るものだった。

 25日に投開票された参院広島選挙区の再選挙では、37万票を獲得した野党系で諸派新顔の宮口治子氏(45)が、自民新顔の西田(にした)英範氏(39)を3万3千票差で破り、初当選を果たした。投票率は33・61%で、2019年参院選の44・67%を大きく下回った。

 終盤にかけ、陣営は批判のト…

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