稼ぐ力落ちる東電 信頼回復進まず課題は山積み
東京電力ホールディングス(HD)は28日、新会長に小林喜光・前経済同友会代表幹事が就く人事を正式に発表した。21年3月期決算は経常利益が前年比約3割減の1898億円で、2年連続の経常減益となった。コロナ禍による需要減や電力自由化による競争激化が響いた。
小林氏はこの日オンラインで会見し、「実効性のある安全の確保、信頼の回復を主導していくのがまず使命の第一だ」と述べた。
東電では柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策の不備が発覚するなど不祥事が相次ぐ。同原発については原子力規制委員会から核燃料の移動禁止を命じられ、不備の原因究明などに1年以上かかる見込みだ。
小林氏は「誠に遺憾。企業体質、企業文化の面での課題もやはり山積しているのではないか」とした。
小林氏は東電の筆頭株主である国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構の運営委員として、再建計画の策定に関わってきた。12~15年に東電の社外取締役を務めた。期待されるのが、落ち込む収益力の改善や関係自治体との信頼回復だ。
東電がこの日発表した21年3月期決算は、売上高が5兆8668億円で前年比3745億円減だった。収益の柱である電力小売りで、販売電力量は前年から5・7%減った。電力小売りの全面自由化で、競争は激しい。コロナ禍で電力の需要も下がっている。
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