都市部に広がるか 杉並区に23区初の農福連携農園

井上恵一朗
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 農業と福祉が連携した農園の開園式が28日、東京都杉並区であった。同区が主体となり、今月全面オープン、都市部の農地保全だけでなく、障害者らの農業参加を通じて就労支援や生きがいづくりにつなげる取り組みだ。近年注目される「農福連携農園」だが、都市化が進んだ23区では初の専用農場という。

 農園は宅地に囲まれた井草3丁目にあり、広さ約3200平方メートル。近隣の農家から区が借りて区民農園として使っていたが、相続の発生に伴い、区は2019年3月に約13億円で購入。翌4月から、福祉分野と協力した農場への整備と試験的な作付けを始めていた。

 「農の風景」を再現する木造平屋建ての管理棟が完成し、全面オープンにこぎつけた。区内最古とされる江戸中期の古民家の所有者から寄付された、梁(はり)や建具などの部材を使っている。

 区内四つの障害者団体のほか、地域の保育園にも区画を提供している。運営はJA東京中央に委託し、高齢者のボランティアに運営をサポートしてもらう。収穫体験など、区民向けのイベントも計画している。

 式であいさつした田中良区長は「都市部の農地はかつて住宅供給の種地とみられてきたが、今は住宅地にある付加価値として、大事にしようという存在になった。都市農地を活性化させる好例になってほしい」と語った。区障害者団体連合会長の高橋博さん(74)は「自ら汗を流して収穫する喜び。販売もできれば、農業分野で工賃を得ることにもつながると期待している。都市部の農福連携は難しいと思ってきたが、23区にもできた。さらに広がってほしい」と話した。井上恵一朗