国際課税ルール 「大転換が必要」 中尾・元財務官

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聞き手・吉田貴司、伊沢友之
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 巨大IT企業の国境をまたいだ過度な節税策などに対応する新たな国際課税ルールづくりの議論が、経済協力開発機構(OECD)で進んでいる。米バイデン政権が協議に前向きに応じる姿勢を示し、目標に掲げている7月の合意への期待が高まった。新たなルールはなぜ必要となり、どんな意味を持つのか。元財務官でみずほリサーチ&テクノロジーズ理事長の中尾武彦氏に聞いた。

 ――なぜ新たな国際課税ルールが必要なのですか。

 もともと法人税は販売拠点や営業活動をしている「物理的な拠点(PE)」を基準にして課税するものだった。しかし、デジタル化によって、巨大企業が収益の元になる特許権などをアイルランドオランダのような(税率の低い)軽課税国に移し、利益をそこに集中させることで、ほかの国での課税を逃れることが増えた。PEを基準にした国際課税ルールが成り立たなくなっている。

 ――OECDではどのような議論がなされているのですか。

 PEにとらわれない課税権を認める方向性などを確認している。巨大IT企業など課税対象になる企業グループの利益を「通常の企業活動で得られる利益」と「超過利益」に分け、後者の利益を国別の売上高に応じて、税収として再配分する案を詰めている。

 また、軽課税国の存在に対しては、「グローバルミニマム税」とも呼ばれる法人税の最低税率をもうけることも、もう一つの柱として議論中だ。1980年代以降、世界的な傾向として法人税をどんどん下げる「底辺への競争」が起きた。税収が十分に確保できなくなると、十分な公共サービスが提供できなくなったり、財政のバランスを崩したりし、市場へのリスクをもたらす。「底辺への競争」はよいことではない。

 ――OECDは新たなルールについて、今年半ばの合意を目指しています。

 合意できれば、国際課税ルー…

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