東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言は、日本社会が抱える「ジェンダー不平等」の現実を象徴していた。個人の尊重(13条)、性差別の禁止(14条)、男女の本質的平等(24条)を掲げた日本国憲法が施行されて74年を迎えるが、理念の実現は道半ばに過ぎない。近代以降、国内外のジェンダー平等の歩みはどう展開してきたのか。課題は何か。憲法・ジェンダー法が専門の辻村みよ子・東北大名誉教授に話を聞いた。
――女性の権利獲得の運動はいつから始まったのでしょうか。
女性の権利の歴史(注1)をみる場合いつから始めるか問題ですが、成文法ができた後についてみれば、紀元前15世紀以降のアッシリア法やヒッタイト法では、女性は子を生む財産とみなされ、婚姻自体がその財産を夫婦の父親たちの間でやりとりする手段でした。
ギロチンで処刑
ローマ時代に家父長制が強化され、中世のゲルマン慣習法でも、婚姻は娘に対する父親の支配権を夫が買い取るものという考えが支配していました。
古代・中世でも女性の地位改…

Think Gender
男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る]