飛鳥の魅力伝える新刊できた 第一線研究者ら集結

清水謙司
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 「日本国」はじまりの地・飛鳥の魅力を知るのに役立つ新刊「飛鳥への招待」(中央公論新社)が出た。飛鳥を追究する第一線の専門家らが、古墳や遺跡などについて最新の知見をふまえて丁寧に紹介している。歴史散歩に出掛けたくなる一冊に仕上がった。

 著者は、古都飛鳥保存財団が主催するご当地検定「飛鳥学冠位叙任試験」の問題を作る委員会のメンバー。奈良県橿原考古学研究所奈良文化財研究所、大学などで飛鳥の調査や研究に取り組んでいる豪華執筆陣で、考古学、古代史、万葉学、民俗学などと専門分野も様々だ。

 新刊は3部構成。1部は、「飛鳥美人」の極彩色壁画で知られる高松塚古墳からスタート。日本初の本格的庭園跡とされる飛鳥京跡苑池(えんち)、これまた日本初の本格的な都とされる藤原京、昨年の発掘調査で文武天皇陵である可能性がさらに高まった八角墳・中尾山古墳など、新発見や有名どころもたっぷりと紹介した。文化財の宝庫・明日香村の景観が守られてきた経緯も伝えた。

 2部では、研究者5人による座談会を収めた。

 最近の発掘調査の成果も交えながら、「古都飛鳥の百年、これからの飛鳥」をテーマに語り合う。中大兄皇子らが蘇我蝦夷(えみし)、入鹿を滅ぼした乙巳(いっし)の変(645年)と古代史上最大の内乱・壬申の乱(672年)など有名な史実も取り上げている。来年は高松塚古墳の壁画が発見されて50周年。「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の世界遺産登録に向けた動きもある。こうした中、飛鳥の未来についても語らった。

 最後の3部は飛鳥の見どころを紹介した周遊紀行だ。宮殿や寺院、古墳、万葉の故地を、それぞれの分野の第一人者がガイド役を務めている。

 同財団の50周年を記念した本でもある。執筆者の一人で編者の今尾文昭・関西大非常勤講師(日本考古学)は「飛鳥の魅力を多方面から語っています」と特徴を語る。2090円(税込み)。(清水謙司)