阪大病院、ICU全てコロナ病床に 連休対応の要請受け
大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)は大型連休を含む5月1~10日、集中治療室(ICU)の病床30床全てを新型コロナウイルスの重症患者の治療にあてることを決めた。大阪府の病床確保要請を受けた対応で、この間、ICUを使う予定だったコロナ以外の手術約10件を延期する。
阪大病院のICUは人工呼吸器などを備え、年間にがんや心臓病の手術などで患者約1千人が使う。新型コロナ感染拡大に伴い、徐々にコロナ用病床を増やしてきた。4月30日までに23床がコロナ用にあてられていたが、すべてをコロナ用に使うのは初めてになる。
府は阪大病院を含め、新型コロナの重症患者を受け入れている府内の5大学病院に対し、連休期間中はコロナ病床を一時的に増やすよう要請した。入院や手術を延期して病床を確保するよう求めている。
大阪市立大学医学部付属病院(大阪市)は10床でコロナ重症患者に対応してきたが、府の要請を受け30日までに11床増やし、計21床で連休中の治療にあたる。
関西医科大学総合医療センター(守口市)は20床でコロナ重症患者の対応にあたってきた。27日以降、軽症・中等症患者用の8床を重症用に切り替え、計28床に増やした。枚方市の同大付属病院などの医師らが応援に入って対応を強化する。
大阪医科薬科大学病院(高槻市)もICU16床中10床でコロナの重症患者を治療してきたが、個室を5月1日に2床、2日に2床追加する。9日まで計14床で重症患者の治療にあたる。
一方、近畿大学病院(大阪狭山市)では、4月30日までに患者29人のコロナ陽性が確認され、クラスター(感染者集団)が発生したと府に認定された。この対応のため、コロナ病床15床をこれ以上増やさない方針。新規の救急患者の受け入れも5月6日まで停止する。広報担当者は「院内で陽性が確認された患者への対応が最優先。増床は難しい」と話す。
府内では4月29日、1日あたりで過去最多の44人の死亡が発表されるなど、重症患者に続いて死者も急増している。
大阪医科薬科大学病院の南敏明院長は「重篤化しやすい変異株が一因で、若い世代でも明らかに急速に悪化する人が増えている。『自分は大丈夫』という甘い考えではコロナは収まらない。コロナ以外の病気の方もおろそかにできず、スタッフも資材もぎりぎりの状況だが、我々もめいっぱい重症の方を受け入れる。どうか連休中は出歩かず、辛抱していただきたい」と話す。(矢田文、竹野内崇宏、堀之内健史)
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