五輪へ看護師派遣、現場は「怒っている」 ツイート拡散

野口陽
[PR]

 東京五輪パラリンピック大会組織委員会が大会中の医療スタッフとして、日本看護協会に看護師500人の派遣を要請したことに対して、看護師たちが反発を強めている。病院や福祉施設などの労働者でつくる日本医療労働組合連合会(医労連)は30日、「派遣要請は直ちに見直すべき」だとする談話を発表。愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)が26日にツイッター上で「#看護師の五輪派遣は困ります」と反対すると、30日午後までに24万件以上ツイートされた。

 医労連は森田進書記長の談話で、五輪開会までに新型コロナウイルスの感染拡大が収束する見通しが無い中、「患者と看護師のいのちや健康を犠牲にしてまで開催に固執しなければならないのかと、強い憤りを感じる」とした。

 愛知県医労連は自らのツイッターアカウントに「コロナ禍で看護師不足の現場にこそ派遣を」「五輪より今はコロナ対策」と書き込み、ツイッター上でのデモを呼びかけた。ツイートは急速に拡散し、一時ツイッターのトレンドになった。国内外のメディアから問いあわせが相次いでいる。

 県医労連によると、コロナ患者への対応で現場の人手不足が深刻化。重症患者らに多くの人手を割く状況が続く。加えて自身が感染する看護師もいるため退職者も増えている。夜勤の回数は公的な目安を大きく超え、2交代勤務で月7~8回となるケースもある。妊娠中に夜勤を迫られる例も見受けられた。矢野彩子書記次長は「現場の感覚からすると、今は1人でも抜けたら大変。簡単に500人と言うけれど、今の状況がわかっていない。現場は怒っている」と話す。

 組織委から要請を受けた日本看護協会の福井トシ子会長は30日、官邸で菅義偉首相と面会後、報道陣に「(五輪を)やるということになっているのであれば、そこに向けて今できることをしっかり整えておく」と語った。菅首相は同日、「看護協会の中で現在、休まれている方がたくさんいらっしゃると聞いている。そうしたこと(派遣)は可能だと思っている」と話した。

 組織委の武藤敏郎事務総長は26日、要請について「地域医療に悪影響を与えないのが大前提」と説明。大会関係者によると、看護師は全国から募り、競技会場や選手村の総合診療所などでの活動を想定している。医師については調整中で、大学病院などと交渉しているという。(野口陽)