全国各地で「自民分裂」の不協和音、次期衆院選に暗雲
菅政権下で初の国政選挙となった衆参3選挙で全敗を喫した自民党。来たるべき総選挙へ立て直しを急ぐが、全国各地で頻発する内紛が影を落とす。
4月9日の自民党本部。党兵庫県連会長の谷公一衆院議員が記者団に、硬い表情で語った。
「いろいろあったが一つの結論が出た。溝はまだまだ深いので、修復するべく汗をかいて頑張る」
【連載】フロントライン 政治の最前線
菅首相を支える「秘密結社」や野党のジレンマ――。政局のキーマンの動向や注目ニュースの背景を、わかりやすく伝えます。
「一つの結論」とは、7月18日投開票の兵庫県知事選をめぐり、県連が推すことを決めた前副知事の金沢和夫氏ではなく、国会議員らが中心となって求めていた前大阪府財政課長の斎藤元彦氏を推薦する方針を指す。
これに怒ったのが兵庫の県議たちだ。
「党本部の決定は理解しがたい。承服しがたく、公正な手続きとは違う」。自民党県議の藤本百男氏は同日記者会見を開き、居並ぶ自民党県議23人を代表して不満をぶちまけた。
対立の発端は、昨年末までさかのぼる。
5期20年を迎えた現職の井戸敏三知事が今期限りでの退任を表明した当日、県議会最大会派の自民党県議団が執行部らの多数決で前副知事の支援を決定。さらに、党本部の推薦決定に先立つ4月7日には、県連の選挙対策委員会が投票を行い、前副知事を正式に推薦するよう党本部に求めることも決めていた。
ただ一連の過程で、「決め方が強引だ」と反発する県議団の一部が3月に退団届を出して斎藤氏の擁立をめざして活動。この動きに同調したのが、知事選の推薦候補の選定にかんでいなかった県連所属の15人の国会議員たちだった。
背景には、大阪で強固な地盤をもつ大阪維新の会の兵庫進出への懸念が見え隠れする。次期衆院選や今後の地方選挙で維新が兵庫で多くの候補者を立てれば自民党の議席を脅かしかねないからだ。
分裂したまま知事選に突入か
斎藤氏は、維新代表の松井一…