70歳まで働く機会の確保、中小企業の対応3割どまり

専門記者・木村裕明
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 70歳まで働く機会の確保を企業の努力義務と定める改正高年齢者雇用安定法が4月に施行されたのを受けて、日本商工会議所が中小企業に対応を聞いたところ、必要な対応を講じているのは約3割にとどまることがわかった。新型コロナウイルスの感染拡大で企業の業績悪化が目立つ中、人件費の負担増につながる施策の導入は難しい。中小企業にとって、法改正への対応はハードルが高いことがうかがえる。

 日商が4月14~20日に全国の会員企業2752社を対象に調査し、76・2%から回答を得た。4月30日に発表した調査結果によると、「必要な対応を講じている」企業が32・6%あった一方、「具体的な対応はできていない」は31・9%。「具体的な対応を準備・検討中」は10・6%だった。日商は「就業規則や労働環境の整備も必要で、コロナ禍で対応が遅れた面もあるのでは」(産業政策第二部)とみている。必要な対応を講じている企業の具体策(複数回答)は、70歳までの継続雇用制度の導入(65・8%)、定年制の廃止(20・2%)の順に多かった。

 「対象の社員がいない」「対象の社員はいるが、努力義務である」ことを理由に「対応予定はない」と答えた企業も計24・9%にのぼった。「専門職の技術者の再雇用には同一労働同一賃金の対応が課題で、なかなか検討が進まない」との声もあったという。

 日商は30日、4月から中小企業に適用された「同一労働同一賃金」への対応について、適用直前の2月に実施した調査結果も発表した。回答のあった全国の中小企業約3千社のうち、「対象になりそうな非正規社員がいる」のは445社。このうち「対応のめどがついている」のは56・2%にとどまった。昨年2~3月の前回調査より9・5ポイント増えたが、対応が遅れている企業も多い。(専門記者・木村裕明)