規模縮小で済む? 五輪ライブサイト、感染警戒で岐路

軽部理人
[PR]

 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック期間中に行われるパブリックビューイングのイベント「ライブサイト」が、岐路に立っている。7月23日の大会開幕に向けて準備が進むが、大会が「無観客」となればイベントそのものが難しくなるからだ。現時点では感染対策を徹底した上で開く方向だが、都幹部からも「難しいかもしれない」との声が漏れる。

 「色々な工夫をして、ライブサイトの運営につながってくる。ただ、まずはコロナ対策をしっかりと進めていく必要がある」

 28日の定例会見。小池百合子知事は、ライブサイトの実施について問われるとそう述べるにとどめた。

 計画では大会期間中、都内には代々木公園渋谷区)と井の頭公園武蔵野市三鷹市)の2カ所にライブサイト会場が設けられる。大型ビジョンで競技を見ることができるほか、競技体験コーナーや飲食を提供するスペースを設置。これとは別に、日比谷公園や調布駅前広場、東日本大震災熊本地震の被災地4県などでもパブリックビューイングが開催される。

目指したのは、ラグビーW杯の「感動

 1964年以来の東京五輪開催に向けて、都と大会組織委員会がライブサイトを設ける最大の狙いは、「大会の感動と興奮を共有する」ことだった。

 その前例となったのが、一昨年秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)。「ファンゾーン」と名づけられ、東京では有楽町と調布市に設けられたパブリックビューイング会場は連日満員になった。都の担当者は当時、「会場に来れば世界の誰とでも仲良くなって盛り上がれる。五輪開催時にも、そんな場所になることを目指したい」と話していた。

 だが、昨年から感染が広まった新型コロナウイルスがその形を大きく変える。水際対策で外国からの観客の受け入れを断念。代々木公園では1日あたりの来場者を3万5千人と見込んでいたが、事前申込制にした上で座席数を710人と半分以下にすることで大幅に減らす予定だ。

神経使う感染対策、それでも「厳しいかも」

 観戦中の感染防止策にも神経を使う。競技中は大声を出さずに静かに拍手をすることを求め、持ち込みを認めるのはソフトドリンクのみ。アルコール販売も取りやめた。

 ただ、会場予定地では観客席の設置準備が始まるなか、本当にライブサイトを開けるかはいまだ不透明なままだ。政府や都、組織委などは競技場での観客の有無や人数上限を6月中に決めると表明。仮に競技場に観客が入れない判断をすれば、ライブサイトを取りやめるべきだとの議論が高まるのは必至だ。

 実際に、組織委の武藤敏郎事務総長は27日、「無観客ならパブリックビューイングはおかしいという議論は当然ある。今は私もそういう考え方に近い」と発言。「大会の感動と興奮を共有する場」を目指した都庁内からも、「競技場が無観客となれば、ライブサイトのみの運営は難しいかもしれない」と焦る声が強まっている。(軽部理人)