穂村弘さんバブル期のデビュー歌集、未来を先取り?

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聞き手・佐々波幸子
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 歌人の穂村弘さんが31年前に自費出版したデビュー歌集「シンジケート」の新装版が出版されました。バブルの時代を映した歌集はいま読み返すと、未来を先取りしたような歌がある一方、社会の状況の変化に伴い、意外な受け止め方をされている歌もありました。穂村さんにこうした歌が生まれた背景や、「言葉の命」について聞きました。

 ほむら・ひろし 1962年、北海道生まれ。86年、連作「シンジケート」で角川短歌賞次席。88年、同人誌「かばん」に参加。90年、第1歌集「シンジケート」出版。08年、評論集「短歌の友人」で伊藤整文学賞、連作「楽しい一日」で短歌研究賞。17年「鳥肌が」で講談社エッセイ賞。18年、第4歌集「水中翼船炎上中」で若山牧水賞。

 ――新装版の解説に、作家の高橋源一郎さんが〈「シンジケート」には、「あの時代」が閉じこめられているのだ。軽く、明るく、テレビやゲームのCMのことばが飛び交って、でも、どこかちょっとだけ不安な、あの頃が〉と書いていますね。

 改めてこの歌集に収めた短歌をいつ作ったのかと考えると、1985年から90年にかけてなんです。もろにバブル期と重なっていて、90年10月に歌集が出た後、バブルが崩壊した。

 当時はもちろん、バブルが終わるなんて予測していないし、バブルだという自覚すらはっきり持ってはいなかった。僕の親世代は相対化できるけれど、僕らは自分の青春をただ生きていただけですからね。それほど恩恵を受けたわけでもない。デザイナーズブランドの服が欲しいと思っても、たくさん売ってはいるけど、簡単には買えない、手が出ないような状況でした。

 ただ、これからどんどん盛り上がって、世の中がきらきらしていくんだという空気感はありました。

 終バスにふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて

 たとえばこの歌は、二人きり…

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