経団連新会長「良識ある経営者、今の資本主義に危機感」

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専門記者・木村裕明
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報道各社のインタビューに応じる十倉雅和氏=東京・大手町、代表撮影
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 「財界総理」とも呼ばれる経団連の新会長に1日付で就く十倉雅和氏(住友化学会長)が、報道各社のインタビューに応じた。病気で途中退任した中西宏明・前会長が掲げた「サステイナブルな資本主義」を「いの一番のスローガン」として踏襲する姿勢を示し、「実現に少しでも近づく経団連にしたい」と抱負を述べた。脱炭素に向けた政府目標は「非常に厳しい」としつつも、「逆にこれを成長戦略の柱にしないといけない」などと達成に意欲を示した。

 十倉氏は、会長就任後に重視するテーマを「デジタルとグリーン」「社会性」「パックス・コンソルティス(主要国の協調による平和秩序の維持)」という三つのキーワードで示した。

 デジタルとグリーンは、菅政権が掲げる成長戦略の二本柱だ。政府が2050年のカーボンニュートラル温室効果ガス実質排出ゼロ)を掲げ、実現に向けて30年度の温室効果ガス削減目標を13年度比46%に引き上げたことについて、十倉氏は「産業界は水をぶっかけられた思い。時間的な余裕もない」としながらも「新しい研究投資や設備投資を呼び込む」効果への期待も交えて理解を示した。

 その上でカーボンニュートラルに向けて「情熱や意気込みだけではできない。サイエンスに基づいて、産業界、経済界として新しい技術やイノベーションで貢献したい」と意欲をみせた。2期4年の任期中に、脱炭素の実現に向けて、政府の2兆円の基金も活用して要素技術の開発を進める考えを表明。ただ、その寄与が見込めない30年度の目標については、既存技術を総動員して「歯をくいしばってでも達成しなきゃいけない」と話した。「一番大きく効くのは電源の脱炭素化」と指摘し、エネルギー安全保障の観点などから「原子力はしっかり確保していかないといけない」とも述べた。

 グリーンと並ぶ課題に、DX(デジタル化による変革)を挙げた。中西氏が打ち出した新たな社会像「Society5・0」の実現に向け、コロナ禍で日本の遅れが顕在化したデジタル化の推進にも力を注ぐ。

 会長就任が内定した5月10日の記者会見で、「広く国民各層、社会全体から支持される経団連を目指す」と述べた十倉氏。インタビューでは、新自由主義市場原理主義に基づく行き過ぎた効率追求や規模拡大が、格差の拡大や再生産、気候変動、生態系の破壊を招いているとの見方を示し、「良識ある経営者は、今までの企業、資本主義市場経済のあり方に危機感を持っている」と話した。

地政学リスクの高まり「大きな影響」

 「市場経済の中に社会性の視…

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