フジ・メディア・ホールディングスや東北新社が放送法で定めた外資規制に違反した問題で、かつてライブドアによるニッポン放送への敵対的買収に関わった塩野誠さん(現・経営共創基盤共同経営者)は、自身の経験を踏まえて、「外資規制がとっくに形骸化している」と見ています。そのうえで、規制をしてまで守る対象について議論すべきだと投げかけます。
――ライブドアが2005年にニッポン放送株を取得したときも、実質的には外資が20%を超えて株を持っていたと指摘されています。海外ファンドが規制にかからないよう「名義を書き換えるのを忘れた」としつつ保有している株(失念株)の存在がありました。
名義を伏せるために失念させているってことですね。あの当時も海外ファンドなど外資保有分は、おそらく外資規制の20%を超えていた可能性があります。あの時点で放送法の外資規制は形骸化していたと思います。
いま振り返ると、2005年が放送局の最後の買いどきだったのかもしれません。すでに将来はインターネットの世界が大きくなるとわかっていた。いま、テレビのもっていたメディアパワーはユーチューブに吸い取られてしまい、放送局を買いたい人はいなくなってしまった。従って外資規制も「何を守るんだ」というところに立ち返らないといけません。
――その外資規制の問題が、再びかまびすしくなっています。
いまの放送法の外資規制は形骸化し、「保護法益」(法律で規制して守る利益)を消失していると思います。いまや子供たちはテレビでユーチューブを見ていて放送局の影は薄い。もっと実情にそった法益、規制によって何を保護すべきか、を考え直さないといけない時期にきていると思います。
――どういうことでしょうか。
もともと放送を規制する根拠…