笑いの新聖地は岡山? M-1決勝に4人、躍進の背景は

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後藤隆之
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 お笑いの新たな「聖地」として岡山県が存在感を増しつつある。きっかけは昨年暮れ。結成15年以内の漫才王者を決める「M―1グランプリ2020」の決勝進出10組中、県出身者がなんと3組4人を占めたのだ。快進撃の背景に何があるのか。

 「マヂカルラブリー」が優勝した昨年12月のM―1グランプリ。「静ボケ剛ツッコミ」と称された「東京ホテイソン」が決勝で繰り出したのは、「謎解き」風の漫才だった。

拡大する写真・図版東京ホテイソンのたけるさん(左)とショーゴさん=東京都港区

 「回文」をテーマにした掛け合い。たけるさん(26)が「いーや」と大きな身ぶりを交えてツッコミを入れると、会場は笑いに包まれた。歌舞伎のセリフを思わせる独特の節回しと、よく通る声。岡山県高梁(たかはし)市で育ち、国指定重要無形民俗文化財の郷土芸能「備中神楽」に2歳ごろから親しんできたがゆえの武器だ。

 ファイナリストのうち、ほかにも「ウエストランド」の井口浩之さん(38)と河本太さん(37)はコンビそろって岡山県津山市出身。最終決戦に進んだ見取り図のリリーさん(36)も岡山勢だ。さらに、準決勝に進出した「ロングコートダディ」の兎(うさぎ)さん(32)も岡山市出身。彼らの奮闘はネット空間でも話題を呼び、SNS上では「岡山出身が(ツイッターの)トレンド入りしてる」「ついに晴れの国の時代が来たか」などの投稿が相次いだ。

 決勝後、たけるさんは「4人も決勝に行けて本当にうれしかった。お笑い界に(お笑いコンビの)『千鳥』さん以外にも岡山出身者がいるんだぞと知らせるいい機会だった」と振り返り、「岡山をお笑い大国にすべく、(自分たちも)実績を残していきたい」と再挑戦を誓った。

昨年のM―1グランプリで最多だった岡山勢。過去16回の出場者を出身都道府県別に独自集計すると、それでも上位に食い込んでいることがわかりました。なぜ岡山なのか、記事後半でその謎に迫ります。

応援する地元 PRしたい岡山県

 かつて吉本興業大阪市)は、岡山市へ進出していた時期もある。表町(おもてちょう)商店街にあった「3丁目劇場」では、2000年から05年まで定期公演をしていた。タレントを養成する「吉本芸能学院NSC岡山校」も、03年から05年まで開校。ただ、今ではどちらも撤退している。決勝進出者で関わりのあるメンバーもいない。

拡大する写真・図版吉本興業の定期公演があった「3丁目劇場」の入り口に立つ高田美紀子さん。劇場を運営していた協議会の会長を務めた=岡山市

 3丁目劇場の管理・運営を担っていたのは、地元商店主らでつくる運営協議会だった。同協議会の会長を務めていた高田美紀子さん(72)=岡山市=はお笑い好きで、M―1のファンでもある。「岡山県出身者が多かった理由はわかりませんが、頑張っている姿は応援したくなる」と喜ぶ。

 化粧品専門店「MASAYA」(本社・岡山市)顧問の傍ら、岡山商工会議所女性会の会長を務めるなど岡山の発展に尽力しており、「こうした若い人を呼べたらおもしろそう」と夢は膨らむ。

 一方、岡山県は、今回をチャンスとみる。県公聴広報課によると、東京ホテイソンは2年前、県制作の動画に登場。岡山のデニムや、県の取り組む建設産業の人手不足解消策を漫才でPRした。ユーチューブ上での再生回数はM―1決勝進出の決まった後から急に伸びたといい、同課の東寛(ひがしひろし)課長は「硬いテーマでも、漫才でおもしろくなったという感想をいただくなど好評。県の情報を目にする機会が少ない人にも情報が届く。今後も情報発信に協力していただきたい」と期待する。

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