発熱した患者を救急車で運ぶなど、新型コロナウイルスへの感染リスクを抱える救急隊員へのワクチン接種が進んでいない。「第4波」に見舞われる中で、現場からは「早急な接種を」との声も上がる。
大型連休中の2日、東京都千代田区の神田消防署地下に、非番の救急隊員ら36人が距離をとって並んだ。
体育室で地元の医師会から派遣された医師の問診があり、看護師からワクチンの接種を受けた。
男性隊員(37)は「発熱者を運ぶ時は常にコロナへの感染を念頭に置いてきた。これでかなり安心感がある」と話した。
出動する際、常にマスクをつけて防護服の上下を着ているが、それでも「不安は拭いきれない」と言う。
対象は15万3千人 頭抱える消防庁の担当者
最近は1日に数人は発熱患者を搬送しているが、マスクをしていない患者や家族を運ぶ経験もしたという。
神田消防署では今後、毎週日曜に非番の救急隊員らに接種を進め、6月初旬には終える予定だという。
すべての救急隊員と現場で救急活動をする一部の消防隊員は、医師や看護師、薬剤師、自衛隊員、検疫所職員などとともに、先行して接種を受ける「医療従事者等」として厚生労働省から位置づけられている。
総務省消防庁によると、対象は全国で約15万3千人にのぼる。
ただ、接種が順調に進んでいるとはいえない。
約3千人が接種対象の横浜市消防局では、まだ開始時期が決まっていない。
担当者は「早い接種を求める声もあるが、接種してくれる病院側の準備に時間がかかっているようだ」と話す。
東京消防庁では4月下旬から接種が始まったが、まだ一部の消防署に限られる。
各消防署と地元医師会がやりとりして接種時期を決めているといい、同庁の担当者は「早く進めたいが、こちらでコントロールできるものでもない」と頭を抱える。
千葉市消防局でも2日、市内…

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