「がん治療を根本から変える」 光免疫療法開発者の思い

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聞き手 編集委員・辻外記子
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 がんだけを狙い撃ちする新たな治療法「光免疫療法」の新薬の製造販売が昨年、世界で初めて日本で承認され、注目を集めています。開発者で米国立保健研究所(NIH)のがん研究所主任研究員、小林久隆さん(59)に、これまでの道のりや治療法への思いを聞きました。小林さんは「がん治療を根本的に変える可能性がある」と言います。

 ――従来の治療が効かなくなった一部の頭頸部(とうけいぶ)のがん患者向けの、光免疫療法で使う新薬に公的医療保険が適用されました。

 米国で研究をしてつくったもので、アメリカでの承認が先かなと思っていましたが、日本の多くの皆さんの支援、後押しがあってこその面もあります。

 日本人のためにまず、使われることになったことは素直にうれしいと思っています。

 患者さんの数はまだわずかですが、「治った」と喜んでもらえるのが一番の喜びです。

放射線科医が放射線を捨てた

 ――30年越しの研究でした。

 「がんだけを死滅できないか」と考え始めたのはまだ大学生のころです。

 たんぱく質の一種で、体内に入った病原体などの異物にあたる「抗原」にくっつく性質があるのが「抗体」です。

 抗体を使えば、がんの治療も簡単にできると思っていて、こんなに長くかかるとは思っていませんでした。

 放射線診断・治療を専門とする臨床医になったころから、「手術」「放射線」「化学療法」の3治療が、がん治療の中心でした。

 しかし放射線治療の多くの場合、照射すると正常の細胞も含めて、「焼け野原」になってしまう。

 従来のがん治療は、がん細胞だけでなく、体を防御する免疫力を落としてしまうという大きな矛盾を抱えているのです。

 「がんだけ」を実現するため、失敗と工夫を重ねた30年超。ある意味、放射線科医が放射線を捨てたんです。

 ――開発途中に限界を感じたこともありましたか。

 抗体に何かをつけて体内に入…

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