コロナ対応に審判 スペイン州議選、与党に逆風
1年前にコロナ禍で大混乱に陥ったスペイン・マドリード州で4日、州議選が開かれる。首都マドリードがあり、政府のコロナ対応を問う初の本格選挙でもある。悲劇の記憶は生々しく、政府に厳しい風が吹く。やはりコロナの傷痕が深いドイツの総選挙やフランスの大統領選を1年以内に控え、投票の行方に注目が集まる。(マドリード=疋田多揚)
スケート場にあふれた棺
マドリードの教会で助任司祭を務めるビセンテ・エスプルゲスさん(50)は3月末、市内のスケート場を訪れた。人々が踊り滑る姿を眺め、「生活が戻った証し」をようやく実感した。1年前、そこには800もの棺が並んでいたからだ。
スペインでは昨年3月末、イタリアに次ぐ世界で2番目に多い死者数を記録した。連日1千人近くが亡くなり、特に680万人が暮らすマドリード州は被害が集中。首都は火葬が追いつかず、遺体の仮置き場にスケート場があてられた。
エスプルゲスさんは死者に祈りを捧げるため、教会から派遣された。空っぽの棺が積み上げられ、白布に覆われた遺体が次々に運び込まれた。防護服姿の軍人が納棺し、氷上に並べた。
1人の軍人に付き添われ、エスプルゲスさんは零下4度、1800平方メートルのリンクに並んだ800の棺を前に、15分間、涙を流しながら祈りを捧げた。傍らの軍人も祈りの言葉を繰り返していた。「犠牲者の顔も見えなければ、名前もわからない。カトリックを信じているのかさえわからない。でも、家族にも会えずに亡くなっていった人々に、せめて尊厳ある旅立ちをしてほしかった」
スペインでこれまでに亡くなった7万8千人のうち、マドリード州は最も多い1万5千人を占める。全国の感染者数は1日1万人前後に下がり、欧州でも規制が緩い首都の一つとなったが、エスプルゲスさんは「悲劇は集団感染が多発した介護施設でも起きた。この1年、外出規制が繰り返され、人々には不満と政府への不信がたまっている」。
亡くなった父、遺骨は2人分
オスカル・アロさん(48)は今回、初めて投票に行くと決めた。「政府にノーと言うためだ」
アロさんの父はコロナに感染…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]