肺炎から生き返った私がいま思うこと 山折哲雄さん

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聞き手・中島鉄郎
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 新型コロナが日本で流行し始めた1年あまり前、京都に住む宗教学者の山折哲雄さんは突然、重度の肺炎に襲われた。呼吸困難に苦しみ、病院のベッドで死を意識した。それはまた本人の長年の「願望」を試す機会でもあったが……。いま生の側に戻って日々を過ごす山折さんに聞いた。

山折哲雄さん

 1931年生まれ。宗教学者。元国際日本文化研究センター所長。著書に「親鸞をよむ」「米寿を過ぎて長い旅」など。

「安楽な死」願う 橋田寿賀子さんを同志のように

 ――いまはご体調はいかがですか。

 「すっかり良くなりました。肺炎になったのが昨年2月だったので、新型コロナを疑われてPCR検査もしました。右の肺にうみがたまっていたんですね。1カ月入院した後、現代医学のおかげで生き返ったというか、まあ死に損なったんですな」

 ――かつて「安楽死で逝きたい」と主張されたこともある橋田寿賀子さんが先日、95歳で亡くなられました。

 「ええ、そうですね。橋田さんの最期はどのような姿でしたか」

 ――東京の病院に2月に急性リンパ腫で入院し、3月に自宅のある静岡県熱海市内に転院。ご自宅に戻ってまもなく息を引き取られたようです。

 「そうですか。それだと安らかに逝かれたのではないでしょうか。死に近づく過程で気持ちが変化し、『安楽死』という言葉も、頭をよぎらなかったのかもしれませんね。私は橋田さんをある種、『同志』のように思ってきた面があります」

 ――橋田さんが提唱されていた「安楽死」に賛成だったからですか。

 「そうです。橋田さんは2016年12月号の文芸春秋で、『私は安楽死で逝きたい』と寄稿しました。多くの人の共感を集め、同誌の中で、1年で最も読まれた記事に選ばれた。私は当時、不整脈からの脳梗塞(こうそく)で入院し、手術を受けたところでした」

 ――同誌が17年3月号で安楽死「是か非か」を著名人60人にアンケートしていて、山折さんも載っています。

A「安楽死に賛成」B「尊厳死に限り賛成」C「ともに反対」

 の3択ですが、山折さんはBという回答になっていました。

 肺炎で呼吸困難に苦しんだ山折さん。一時は「もう生には戻れない」と思ったそうですが、集中治療の効果あって回復。「現代医療のすごさを感じました」と話します。記事後半では、快復後に感じている生への思いを紹介します。

自ら人生の幕を引く 日本の伝統の価値観

 「私は『断食での死』を考え…

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