身近な存在をデザイン 佐藤卓さんの転機は「ダメ元」

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編集委員・大西若人
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 「明治おいしい牛乳」やキリンビバレッジの「生茶」のパッケージなど、身近な存在のデザインで知られるグラフィックデザイナーの佐藤卓さん(65)は、「日常のデザイン」を掲げ、日々の暮らしのいたるところにデザインがある、と説いています。デザイナーになって40年、「面白くて仕方がない」という仕事に目覚めたきっかけは、あのウイスキーの企画でした。与えられた条件が難しければ難しいほど、「顔がニコニコしてくる」という佐藤さんに話を聞きました。

 ――長年、デザイナーを続けてこられた理由はどこにあるのでしょうか。

 「28歳で電通を辞めてフリーになりました。月並みな言い方ですけれども、面白くて仕方ない。デザインって『つなぐ仕事』だと思っています。人とコトだったり、人とモノだったり、人と人だったり。その間をつなぐ。私がやってきたことは、全部間をつなぐこと。つなげることができたんじゃないかと思った時の喜び、そこから離れられなくなったんですね」

 ――制作していると、やはりひらめきのようなものがあるんでしょうか。

 「ひらめきといっても、具体的な『形』というより、つなぎ方なので、それを追いかけていくと形というのがだんだん浮かび上がってくる。何かと何かをつなぐ時にもアイデアが必要で、いろんな条件とかいろんな人の思考とか、社会の状況とかありとあらゆることを頭の中に入れるんですが、それぞれがスムーズにつながるんじゃないかって思いついた時がアイデアが出たということ。自分が発案しているという意識もなくて、あらゆる情報を自分に入れた状態で、降りてくる感じです」

 ――クライアントの要望や条件が窮屈に感じることはありましたか。

 「いえ、逆に自由にやってくださいって言われると動けなくなりますね。何をやってもいいです、お金もいくらでもあります、と言われたら、全く動けなくなると思います。最初から自発的に何かを生み出してスタートしてるならいいですが、依頼されているのに自由っていうのは身動きがとれなくなりますね。ある条件の中でどうやってつなげばいいのかということを考え始めるので、条件はいくらおっしゃっても構わなくて」

 ――無理難題でも?

 「やっぱりコミュニケーショ…

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