マジック交通安全の駐在さんに嘆願書「いつまでもいて」

米田千佐子
[PR]

 奈良県警天理署柳本駐在所の警察官が担当する交通安全教室が、地域で親しまれている。巡査部長の堂間辰也さん(33)は「マジック」やクイズを採り入れるなど工夫を凝らす。普段から地域への目配りもよく、地元から「いつまでも駐在所にいてほしい」と嘆願書が出るほどだ。

 交通安全運動最終日の4月15日、天理市の柳本小学校で、1年生向けの交通安全教室が開かれた。堂間さんの発案で始まり、今年で7回目だ。

 「今からマジックをします」。36人の1年生の前で、堂間さんが透明な水の入ったペットボトルを振った。すると水は赤色に。「信号の色は何色?」というクイズの答えの一つ。児童はおおはしゃぎだ。

 堂間さんは2006年に「続けてきた柔道を生かしたい」と警察官になった。吉野署の交通課にいた13年ごろ、駐在所勤務の先輩らから話を聞き、「地域の人と協力する仕事」だと関心を持った。勤務希望を伝え、14年3月から柳本駐在所に配置された。

 駐在所では、妻の麻衣さん(30)も道案内などの対応をし、手当も出る。「自分が何をしたらいいかわからなかった」が、2人の子育てをしながら少しずつ仕事を覚えた。「地域の人によくしてもらって、来てよかったなと思っています」

 巡査部長に昇進した18年末、地元から堂間さんを柳本の駐在所に残してほしいと嘆願書が出された。交通安全協会柳本分会長の堀田佳照さん(69)によると、「町内でもみんなに親しまれている」という。

 駐在所の前は小学校の通学路。近くの交差点は見通しが悪く、自転車や児童の飛び出しで堂間さんはヒヤリとすることもある。そこから交通安全教室を思いつき、小学校にかけあった。交差点を人や車が通ると、自然とそちらに目をやり、事故のないように注意を払う。「地域から、事件事故を少しでも減らしていきたい」。優しい笑顔が引き締まった。(米田千佐子)