堺市博物館の逸品、ネットで無料公開 洛中洛外図など

井石栄司
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 堺市博物館が77点のお宝画像を4月下旬からインターネット上で無料公開を始めた。今とは違う京都のランドマークの様子が見られるなど、ステイホーム中に楽しむにはうってつけのコンテンツとなっている。

 公開しているのは、地域を超えた美術品などの検索ができる米グーグルの「グーグルアーツアンドカルチャー」の堺市博物館のページ(https://artsandculture.google.com/partner/sakai-city別ウインドウで開きます)。

 昨年、外部の識者からグーグルの担当者を紹介されたのを機に、博物館の宇野千代子学芸員が公開の準備を進めてきた。

 博物館の所蔵品は劣化を防ぐため、複製品を展示したり、本物の展示は期間を区切ったりしている。デジタル公開すれば、そうした制約がなくなる。

 今回はいずれも本物を、高精細画像でデータ化して公開した。パソコンやスマホで拡大でき、普段は目をこらして見るのが難しい所蔵品の細部も、ゆっくりと鑑賞できる。

 77点は1万点以上を所蔵する堺市博物館のよりすぐりの作品ばかり。注目度が高く、画像をアップして楽しめる作品を宇野学芸員が選んだ。

 主な展示品は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて堺で活動した絵師、土佐光吉と光吉の工房が描いた「源氏絵」、400年前の堺の街で繰り広げられた住吉祭の様子を描いた屛風(びょうぶ)、同時期の京都を描いた洛中洛外図屛風など。

 堺のまちが描かれた住吉祭礼図屛風の絵を拡大すると、薬屋や質屋と思われる店先が丁寧に描かれていることが分かる。登場する町衆も南蛮人に扮したり、おどけたしぐさをしたりと、一人一人の表情が目に浮かぶようだ。屛風の右上には女性を口説いているようにも見える男性の姿も。

 同時期の京都を描いた洛中洛外図屛風にも、裸で鴨川を泳ぐ男性の姿や、今とは趣が違う京都のシンボル東寺の五重塔が描かれるなど、見ていて飽きない。

 当初からゴールデンウィーク期間前に公開しようと準備を進めてきたが、緊急事態宣言発令で博物館が休館となったタイミングと重なった。

 宇野学芸員は「通常、ここまでアップで見ることはできない。ご自宅で絵の面白さを感じてもらったら、宣言解除後に本物を展示した際はぜひ来館して欲しい」と話している。(井石栄司)