都路方言かるたを完成

田中基之
[PR]

 東京電力福島第一原発の事故で避難指示が出た福島県田村市都路町の都路民話の会が「都路方言かるた」をつくった。地区に伝わる方言をかるたの形で残し、後世に伝えるためだ。メンバーは「かるたでたくさん遊び、方言に親しんでほしい」と願う。

 民話の会は渡辺美智子さん(83)が中心となり、2002年に設立された。都路町の小学校や老人ホームなどで、町などに残る民話などを読み聞かせる活動をしてきた。しかし、年々、若い年代で方言が使われなくなり、このままでは方言が消滅してしまうのではないかという心配が大きくなってきた。

 長年かるたにして残したいという夢を持っていた渡辺さんは昨年3月、経営するガソリンスタンドを訪れた、川内村で復興を支援する福島大学うつくしまふくしま未来支援センター相双地域支援サテライト川内分室の岡田和男さんに相談。文化庁の支援を受けてかるたを制作することが決まった。

 会のメンバーで文面を考えたり、他県のかるたを参考にしたりしながら、いろはかるたをつくった。イラストはメンバーの娘の高橋直美さん(47)が担当した。音声CDはメンバーが読み上げて録音した。

 「かんかぢ しっちまった」(やけどしてしまった)

 「へっついの わきで ねごねでる」(かまどのそばで、猫が寝ている)

 完成した200部は都路中学校の生徒に配り、都路小学校や集会所など人の集まる場所に置いて遊んでもらっている。都路町などに伝わる20の民話を方言で伝える民話集も完成させ、200部を中学校などへ配布した。

 都路町のうち福島第一原発から20キロ圏内は、原発事故による国の避難指示が出た。渡辺さんが住む地域は対象外だったが、市の避難指示が出て、一時、栃木県佐野市に移った。しかし、復興の一助になりたいと、11年6月には都路町でガソリンスタンドを再開。当初は警察車両などの利用が多かったという。

 震災前、会のメンバーは10人以上いたが、避難などによって、現在は4人に減った。渡辺さんは「50代以上の人でないと、方言が分からなくなっています。かるたで遊んでもらい、方言を伝えていってほしい」と話している。(田中基之)