酸素を譲ってください #コロナを生きる言葉集

ニューデリー=奈良部健
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 酸素を譲ってください(ニューデリー在住のネハさん)

#コロナを生きる言葉集

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くインド。首都ニューデリーでは、呼吸困難になった患者への医療用酸素が足りない。患者用の酸素が届くのが遅れた病院では、患者20人が亡くなった。病院から酸素を盗み出す事件も起きている。

 街中のガス業者の前には、酸素を求める人だかりができていた。その中で、手を合わせて泣きながら、業者や並んでいた人たちに何度も頼んでいたのが、ネハさん(19)だった。ネハさんの祖父が入院する病院の酸素保有量が残り2時間分しかないと伝えられ、自力で探さざるを得なくなっていた。

 「ここには売ることのできる酸素はないよ」。業者の男性がそう言っても、誰一人としてその場を離れない。「店は隠し持っていて、値段をつり上げて売るのではないか」「これから届くかもしれない」――。普段はおしゃべりで陽気なインドの人たちが、お互いを疑い、無口になっているようだった。そんな場に、ネハさんの頼み続ける声が響いていた。(ニューデリー=奈良部健

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 誰もが経験したことのない日々が続いています。様々な立場、場面の言葉を集めます。明日に向かうための「#コロナを生きる言葉集」。

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